2020年11月17日、良い一報が入ってきました。ユネスコに世界遺産無形文化財として登録申請を出していたシンガポールのホーカー文化、世界遺産入りへの可能性が濃厚となったことがニュースになりました。
可能性が高いというだけで、まだ正式に決まったわけではありませんが、内々定といった形なのでしょうか。最終的な正式発表があるまではなんとも言えませんが、大きく前進。
リー首相も昨日、ホーカー文化が世界遺産入りする可能性が高いことについて触れています。
それもそのはず。「シンガポールのホーカー文化を世界遺産にしましょう!」と一番最初に発言したのはリー首相の一声でした。2018年8月、毎年ナショナルデー後に行われる独立記念日の首相演説で、その事を話した首相。
why our hawker culture is so important to our heritage and the Singaporean way of life.
「なぜホーカー文化が受け継がれる文化であり、シンガポール人の生活の一部として重要なのか」と首相講演で話したのです。
シンガポールの素晴らしさは決断とその行動が早いこと。ホーカー文化の世界遺産登録を進める動きは特に超速な展開でした。首相講演の翌月から、ホーカーを管轄する環境庁やナショナルヘリテイジボードなど複数の政府機関が協力して、ユネスコへ登録申請を出すムーヴメントを開始。2018年9月~2019年3月の約半年に渡って、各地域ホーカーセンターで国民への告知、認知を広め、国民の皆さんからも支援をしてもらう形でキャンペーン、イベントを展開。そして 2019年3月末、ユネスコへの登録申請を出しました。
2019年3月末に申請を終えた時点で、結果発表は 2020年末までにとなっていましたが、今年はコロナになって、ホーカーの件はどうなるのだろう? と私も常々気に掛けていたところに入ってきた昨日のニュースに飛び上がりました。
ユネスコへの登録申請を終えた後の事。お隣のマレーシアから横やりが入ります。ホーカー文化ってシンガポールだけのものではないでしょう? と。マレーシアも一緒にジョイント登録に入れてくれないかという、ちょっと図々しいお願い。
ストリートフード文化、ホーカー文化、特に東南アジアではどこの国にもあり、似たり寄ったりな部分が大きいのも確かです。ただ国ごとに背景や歴史は異なり、シンガポールの場合は限られた国土の中でストリートホーカーから始まり、政府管轄のホーカーセンターをつくってきた歴史があります。また時間と手間をかけて登録申請をするためのキャンペーンを展開、そのための戦略にもどれほどの苦労がかかっていることか。
ちょっとした波風は立ったものの、こんな件で隣国との関係にひびを入れたくはありません。いつものことながらシンガポールはマレーシアに対して穏便に対応し、それ以上の事はありませんでした。正式登録となればまたちょっとした一言が入りそうですが…。
私はユネスコへの登録以前からホーカー文化が好きだったのですが、シンガポールのホーカーを世界遺産に! のムーヴメントに影響される形で、ホーカー文化をもっとサポートしたい! ホーカーで働く方々をフューチャーしたい! そんな想いが募って、シンガポールにある全ホーカー 114ヶ所に行ってみようと決めました。2019年は公認ガイド資格取得の勉強、2020年の今年、コロナをはさんで、スタートした 2019年4月から 1年以上かかりましたが、今年 9月 シンガポールの全ホーカー訪問を達成しました。ブログ経由でも反響を頂きましたが、特にリアルでご縁のある友人、知人からもホーカーに関する多くのポジティブな声を頂き、とても嬉しく思っていました。
昨年、今年はこれまでこんなにホーカーに行ったことがないと言うほど、とにかく頻繁にあちこちのホーカーに足を運び、単なる食文化にとどまらないホーカーの魅力を感じて見てきました。もっともっとホーカーについて知りたい気持ちが大きくなり、何度も通ううちにお気に入りのホーカーの方に直接お話を聴くことで、今まで知らなかったホーカーの違う魅力、新たな魅力も見てきたので、昨日の一報を知った時は、正式発表ではないものの、とにかく心が躍り、大袈裟ですがほんとうに、ほろりと涙が出ました。
最終の正式発表は今年中にある見込み。シンガポールで2番目の世界遺産となるか、今からわくわくが止まりません。
正式に世界遺産無形文化財となった時には、ホーカー文化が抱える課題などにも触れていきたいと思います。
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イラスト提供 Instagram @singapolah