シンガポール選挙の特徴の1つ、批判と対立から変わることはできるのか

選挙戦は残すところ3日。 月、火、水と頑張れば、木曜日 クーリングオフデイ、金曜日 投票日。

 

立候補者の方々も最後のふんばりといったところですが、激戦を越えた与党と野党各党との対立的な状況になっているのが気がかりです。

 

選挙は国民のよりよい生活のため、それを代表して行ってくれる人を選ぶわけで、本来は与党も野党も国民もどんな立場の人も最終的に目指すところは同じはずが、アプローチや立ち位置、価値観や考えが違うことで、お互いを攻撃し合い対立を起こす原因となっているのはとても悲しいことです。

 

シンガポール人の友達が I hate election. とソーシャルメディアに投稿していたのが印象的。平和的なアプローチや考えを望む人にとって、支持政党の違いで人々が対立を起こすのを見るのは、さぞ苦しく感じることでしょう。それが身近な友達どうしで起きていたり、職場または何か同じ組織に所属している仲間同士で起きていれば、なおさら辛いことです。

 

選挙の度に対立がヒートアップするのはシンガポール選挙の特徴の1つ。

 

これまでの野党による与党批判

 

これまで歴史的に野党は与党を過激に批判することで存在感を表わしてきました。重箱の隅をつつくように与党の手の届かない部分を指摘し、あら捜しをして攻撃したり。特定の(与党の)大臣などを名指しして過去の発言について欠点をひどく指摘したり、パーソナルアタックとも言えるものです。攻撃的な感情が表面に出やすく強い対立を生みます。

 

与党支持派からは野党は批判をするだけの政党で、具体的な政策を提示、提案できないと言われてきました。

 

変わりつつある野党と期待の星が登場

 

批判をすることだけしかできないと言われてきた野党ですが、確実に変わりつつあります。今回の選挙を機に野党 WP のリーダーと主力議員が引退し、新たに加わった若手立候補者の多い WP。その WP から今回初めて出馬し、彗星のごとく現れた野党の星 Jamus Limさん。彼がどんな人なのかほぼ誰も知らなかったのですが、6月30日の立候補届け出が終わった翌日、各党からの討論会で驚異的な能力を発揮し、一躍注目を浴び、WP への期待が急上昇しました。

 

シンガポールの政治家の多くを輩出している Raffles Institute 出身、海外での学びを重ね、現在のお仕事はビジネススクールの准教授でもあり、アブダビの投資機関のチーフエコノミスト。アメリカ、オーストラリア、UEAを初め、世界各地での滞在経験が20年以上、シンガポール人らしくない英語を話し、天才的な能力ぶりに国民に強烈な印象を与え、驚かせました。(シンガポールの様々なメディアサイトでシェアされている彼の経歴書がまぶし過ぎてすごいです → こちら )

 

彼は、PAP が政権を握ることを否定しているのではなく、PAP が “blank cheque” 的に政治を行っていることを否定していると発言したことで、それ以降(今も)”blank cheque” が1つのキーワードになっています。それぐらい、Jamus Lim さんの主張は国民の意見を代弁したものだったと言えます。

 

blank cheque” の意味は、白紙の小切手という意味ですが、小切手にサインさえしてあれば、金額は未記入で好きなだけの額面を書くことができることに例えて、PAP は金額を好きなように書いて彼らが思うままに政権を握っていることを批判しているといった意味です。

 

まさに国民の多く、野党支持派は同じことを思っており、PAPが政権を握ることはシンガポールにとって重要なことである、ただしもっと多様な意見を取り入れることが必要と意見する人が多いです。批判をするだけの野党は、国民が本質的に望んでいるものではありません。多様な視点からの多様な声を国会に届けられるかどうかが野党の重要な役割となります。

 

国民に求められる建設的で冷静な視点

 

与党支持、野党支持どちらにしても、建設的に考え冷静に意見を述べられる人は良いですが、どちらかを強く支持するあまり、過激にアンチ与党、アンチ野党に傾き過ぎると攻撃的な対立となるのは悲しいことです。

 

選挙戦、「戦う」という文字を使いますが、他者を攻撃することが戦いではないはず。総選挙での戦いとは何なのだろう? と考えてみると、人それぞれが、何が自分にとって一番大切なのか、どうしたらより良いものが作り出せるのか、自分自身に真剣に問いかけることなのかもしれない、そんな風に思っています。

 

バナーをクリックで応援お願いします!

にほんブログ村 海外生活ブログ シンガポール情報へ
にほんブログ村
イラスト提供 Instagram @singapolah

右上角の赤いメニューから、読者登録ページで Email アドレスを入れて頂くと、ワードプレスのシステムより記事が更新された時に、お知らせが届きます。アメブロの読者登録機能と同じです。どうぞご利用ください。