シンガポール大統領選挙 2023 の行方は

明日 2023年9月1日、シンガポールの大統領選挙。シンガポールでは投票は権利ではなく義務なので、選挙日は祝日となります。

 

シンガポールの大統領は任期 6年。9月で現職ハリマ大統領の任期が満了することから、次期大統領はどうなる? とちらほら噂されていました。他に誰かが立候補する他に、ハリマ大統領の 2期続投も大いにあり得ると思っていましたが、5月、ハリマ大統領は 9月の任期満了で大統領職からは下り、続投への立候補はしないと表明しました。

 

となると誰になるの? と一気にざわついた後、立候補者は 3人になりました。大統領選への選挙活動は、小さな波風はあったものの、各立候補を支持する人たちによる激しい議論の投げ合い、対立などヒートアップも思ったほどありませんでした。特に近年の選挙は、与党支持派と野党支持派の対立が激しくなる傾向にあり、選挙戦では政治家以上に、国民どうしが激しく対立。オンライン社会になった影響が強く、他者を言葉で批判したり、攻撃したりすることが分断を生み、好ましい状況ではありませんでした。

 

激しく対立する様子を傍から外国人として見てきて、悲しく思ったり、胸が痛くなるような想いもあったので、今回の大統領選でもまたあんな風になるのかな、と思っていたので、想像以上の穏やかさで少しほっとしている面もあります。そんな私も、今回は投票する立場に変わり今までとはまた違う視点で見ていることに気付かされています。

 

立候補者 3名について私自身の個人的主観も入れつつ簡単にまとめました。

 

Tharman Shanmugaratnam ターマン氏

 

ターマン氏、当選確実は間違いないでしょう。66歳、3名の中でいちばん若く年齢的にも良いと思います。他のお 2人は共に 75歳。大統領職として年齢的な貫禄も必要ですが、70代も後半になるとシャープさ、柔軟さに欠けるのを感じます。特にシンガポールのような若くて動きのある国は、年齢行き過ぎていない方がよいかと。

 

政治家、経済学者としての経験、実力、知名度共に抜群。シンガポール副首相、上級大臣、財務大臣、金融省長官など国際的ステージでの経験も豊富。これまで何度もシンガポール初のインド系首相に! ターマン氏を首相に! と言われ続けてきた方で、国民からの信頼が厚い方。与党 PAP 反対派の人でもターマン氏なら支持するという層はかなり多いのではと思います。

 

奥様が華人と日本人のハーフで Jane Yumiko Ittogi 夫人。お父さんが日本人、お母さんがシンガポール人、生まれは日本だそうですが、第一印象でも中華系の方に見えます。弁護士でもあり素敵な奥様。

 

ターマン氏は今回の大統領選挙戦で 3名の中では最も活動的に国民へのアプローチを展開。ソーシャルメディアやオンラインでの呼びかけも幅広い年齢層へのリーチ度が高く、内容も堅いものではなく、笑いをたくさん取り入れた親しみやすい内容が多くなっています。人の心を掴むのが上手だなぁと思いました。また、選挙活動中のスピーチは他のお 2人とは見ている世界観、視点が違うのを発する言葉から感じます。

 

ターマン氏の発信はインスタが見やすいです。
@tharman.sg

 

Ng Kok Song コクソン氏

 

今回のダークホース、ンコクソン氏。お名前が Kok Song で発音すると “コソン” に聞えるんですね。kosong はマレー語でゼロ 0、ないの意味。そう、シンガポールでコピを注文する時の、コピオコソンとかの、あれです。ご自分でニックネームをコソンと言って、国民は面白がってコソン、コソンと呼んでいます。

 

75歳、シンガポールの金融業者 GIC の元最高投資責任者であり、他にも金融局理事、シンガポール国際金融取引所の創立会長などの経験がある金融に強い方。業界では知られた方なのでしょうけれど、最初に大統領選に出馬してきた時、国民は、ンコクソンって誰? という状況でした。そこから短期間の間に、一定のイメージを植え付けたのは素晴らしいと思います。

 

コクソン氏が強くアピールしている点の 1つが 3名の中では彼が唯一、どの政党とも繋がりのない無党派。ターマン氏は与党 PAP出身、タン氏は反与党。大統領は政治権力はないものの、シンガポールの場合、大統領と政治の関りが色濃く出てしまうのが実情。無党派で中立な姿勢がどのぐらい評価されるのか興味深いところ。

  

この数週間ほど、夫の家族と集まった時や、知人、友人のシンガポール人の方々と大統領選の話題になることが度々ありましたが、私の周りでもコクソン氏の評判は割と良いと感じます。親しみやすく、印象も良いのだけれど、今ひとつ決め手に欠けるといったところ。個人的には大統領職よりも、どちらかと言うと政治家向きのように感じます。次の総選挙で、小選挙区から無所属で立候補してみてもいいのにと思ったり。

 

コクソン氏にどれぐらい票が集まるのか注目したいところ。

 

Tan Kin Lian タン氏

 

タン氏はコクソン氏と同じ 1948年生まれの 75歳。1977年から2007年の 30年に渡って NTUC インカム最高経営責任者を務めた経歴の持ち主。また、ほぼ同じ時期の 30年間、国会議員ではないものの、与党 PAP の地域メンバーとして政治活動をしていましたが、与党方針に合わなくなったことなどを理由に脱退。その後は、特定の政党に所属しているわけではないものの、事実上の野党 (反PAP派) という形になっています。

 

タン氏は 2011年の大統領選挙でタン氏 “四つ巴” と 大統領選立候補者 4名が全員タン姓だったときの 1人。

 

その時のタン氏 4名は以下で、Tony Tan氏が Tan Cheng Bock 氏に僅差で勝利しましたが、Tan Kin Lian氏は 5%に満たない得票率で立候補時の供託金を没収されました。(一定の得票率を得られないと立候補時に支払った供託金を没収されます。)

– Tony Tan
– Tan Cheng Bock
– Tan Jee Say
– Tan Kin Lian

 

2011年大統領選挙の結果 分かりやすい画像が Yahoo Singapore にありましたので載せておきます。

       

2011年から 12年経っての再挑戦。近年、ますます強まる反与党派からの支持を得たことや、地道に活動を続けてきたことで着実に支持は広がっており、今回は供託金の没収はないだろうと言われていますが、タン氏にどのぐらい得票率が集まるのか、数字にどう表れるのかが注目されます。 

 

大統領らしからぬ発言が度々あって問題視され、選挙活動中のスピーチで本人が謝りの言葉を入れる場面あり。大統領は政治に関わらないのに政策に関する発言をしたり。シンガポールの社会的課題にそんなに関わりたいなら、この方こそ大統領ではなく、野党政治家として活動されたらいいのにといった方。スピーチの内容も、ターマン氏、コクソン氏とは全く視点が違います。

 

*

 

◆ まとめ
ターマン氏がどれぐらいぶっちぎりで勝利するのか。コクソン氏、タン氏がどれぐらい健闘してターマン氏に迫るのか。3名の得票率がどうなるのか注目されます。

 

明日は私自身も初の投票。ちょっとドキドキしながら結果も楽しみです。

 

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