世界で愛される飲み物、コーヒー。
コーヒーが好きな方、カフェが好きな方、スタバファンの方、いろいろな形でコーヒーがお好きな方多いと思います。シンガポールもお洒落で個性的なカフェが多くなり、カフェめぐりも楽しいことのひとつですが、今あちこちにあるようなお洒落なカフェが増え始めたのは 2000年以降のことで、シンガポールの欧米由来のカフェカルチャーが広まったのは本当にごくごく最近のこと。シンガポールのカフェ界では、伝統的なローカルコーヒーのコピから、欧米スタイルのコーヒーが増えたことを coffee revolution コーヒー文化の革命と表現したりします。
シンガポールのスターバックス 1号店はどこかご存じでしょうか? オーチャード Liat Tower のスタバが 1号店で 1996年オープン。私がシンガポールに来た 2004年頃スタバがある場所は限られていて、ラッフルズプレイスなどのオフィス街など中心地のみでした。そしてスタバのコーヒーを買う人は本当に少なかったです。朝スタバでコーヒーを買ってオフィスに持って行く人など皆無で、そんなことしようものなら、何かっこつけて、みたいな雰囲気でした。
現在シンガポール全土にスタバは 140店舗以上まで増えました。シンガポールのコーヒー文化を変えたスタバの存在と影響はとても大きいと感じます。昔ながらのコピにとって、欧米のコーヒー文化は競合の存在に見えますが、違うものが入ってきたことで改めて伝統的なコピの良さが見直された面も大きくあると感じます。
そしてシンガポールで根強い人気のコーヒーはやっぱり伝統的なローカルコーヒーの「コピ」。コーヒーは歴史も古く、奥が深くて簡単には語りつくせませんが、ちょっと変わった視点からコピについてお届けします。
ホーカーのコーヒー屋さんやコーヒーショップでコピを飲むことが多いのですが、お店の看板がおもしろいのです。ホーカーのコーヒーショップばかりを集めてみました。
圧倒的に多いのが 〇〇茶室
「茶室」ではないけれど、コーヒー店の意味がある名前
少数派「攤」の文字を使っているお店、攤は並べるの意味があり、何かを並べて売っている意味で、コーヒー店の意味になります。
独自につけた店名だけのお店
コピが好きなのでお店の名前までついつい見てしまいます。お店の名前で選ぶことはまずないですが…それでも変わった名前のお店を見ると思わず立ち止まってしまいます。
シンガポールではカフェが次々とオープンしては数年で消えていきます。その反面コピを売るお店がなくなるニュースはほとんど見かけません。家賃、人件費の問題もあり、カフェは高い賃貸料のかかる場所に出店することが多いため長く続かない、それも理由にありますが、シンガポール人はコーヒーを飲むだけ、コーヒーそのものを楽しむ習慣がありません。
日本は食材そのものを楽しむ食習慣があり、肉、魚、野菜などもそうですが、コーヒーもコーヒーそのものを楽しむコーヒー文化があり、ブラックコーヒーを好む人が多いため、東南アジアで広く好まれる甘いコーヒーは好まない日本人の方も多いです。
逆にシンガポールや世界の多くの国では、食べ物の素材そのものを楽しむのではなく、調味料やスパイスを使って味付けしたものを好む食文化があり、シンガポールの食文化もそれに当たります。食べ物は濃い味付けのソースが多かったり、インド系、マレー系の料理は独特のスパイスを多く使って、食材よりも味付けを楽しみます。
コーヒーにも同じことが言え、日本ではコーヒーそのものを楽しみ、淹れ方にこだわったコーヒーが好まれたりしますが、シンガポールで好まれるのはコンデンスミルクや砂糖が入ったもの、味の濃い物で、スタバでも売れ筋は甘い系。シンガポールで質の良いコーヒーだけで長続きできるカフェは本当にごくごく限られたカフェだけ。多くはフードメニューでバリエーションをつけたり、食べ物を工夫しないとコーヒーだけでお客さんはリピートしません。だからカフェは長続きしないのではないか… そんな一面もあると思います。
コーヒーは日本語の漢字では「珈琲」、コーヒーと打つと「珈琲」に変換されます。中国語でコーヒーは「咖啡」。日本語は王へん、中国語は口へんです。シンガポールの看板には中国語で「咖啡」と書いてありますが、違和感ないので違う事にも気付かないのが普通だと思います。私もこれに気づいたのは 3年ぐらい前のことでした。
漢字の違いについては、こちらの漢字カフェのサイトが分かりやすかったです。
ローカルのコーヒーショップでコピがこぼれてソーサーに溢れていること、たまにありますよね。
汚い~、雑! と思うかもしれませんが、これが南洋コピ流おもてなし。溢れるほどたっぷり淹れましたという意味があります。今、溢れるほど淹れてくれるコーヒーショップが少なくなって寂しい限りです。溢れていて嬉しいなぁと思えるぐらいになったら、自分自身の思考の枠が広がっていることに気がつくのも嬉しいことです。コーヒーひとつとっても、違う角度から見てみると新たな発見があったり、それが考え方を変えてくれるきっかけにもなったりします。
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イラスト提供 Instagram @singapolah