”ベジタリアンチキンライス” と聞いたら。
菜食主義にまだまだなじみのない日本ではお肉を使わないベジタリアン料理、ベジタリアンチキンライスと聞いてもどんなものかイメージがすぐに浮かばないかと思います。
アジア、東南アジア各国の菜食は宗教的習慣であるものがほとんど。中華系料理、マレー料理、インド料理とシンガポールの三大料理よりは若干マイナーになりますが、ハラルフードと同じぐらい食習慣のひとつとして確立されています。
ベジタリアンラクサ、ベジタリアンチキンライス、ベジタリアンビーフレンダン、和風ベジタリアンだと、ベジタリアントンカツ、ベジタリアン寿司など、バラエティ豊富に揃っています。
アンモキオのホーカーでベジタリアンチキンライスを作っている素敵なお二人。ここのベジタリアンチキンライスは昨年出会って感動。昨年も一度記事にしたのですが、今回はご夫妻にお話を伺いました。
こちらがベジタリアンチキンライスセット $6.8
メニューはいくつかあり、単品のベジタリアンチキンライスもありますが、おすすめはこちらのセットメニュー。スープ、お野菜、お漬物と揃っていてボリュームあります。食器も陶器を使っており抜群のプレゼンテーション。ホーカーのお料理とは思えない立派さ。
お肉はモックミートと湯葉を使ってチキンに。チキンライスのご飯はご存じの通り、茹でた鶏肉の茹で汁を使ってご飯を炊いて味を出しますが、ベジタリアンチキンライスなのでもちろん鶏肉は使いません。パンダンリーフでご飯を炊いて香りを出しています。詳細はお聞きしていないのですが、パンダンリーフの他にも野菜からお出汁をとっているようなしっかりした味がついています。
味もクオリティも素晴らしく、こちらのお店のオーナーご夫妻にお話を聞いてみたいなぁとずっと思っていたところ、お友達がこのベジタリアンチキンライスを食べる再訪も兼ねて一緒に行ってくれました。
オーナーの Sow ご夫妻
奥様がお話をして下さいました。
もともとは、ご主人が他に人を雇って、本当の鶏肉を使ったチキンライス店を経営されていたとのこと。そのチキンライス店とベジタリアンチキンライス店の経営で通算20年ぐらい。お肉を使わない今のベジタリアンキチンライス店にしたのは7年ぐらい前のこと。
それと言うのも、奥様はもとから観音様を信仰していましたがベジタリアンではなかったそう。お兄様が亡くなられたのをきっかけに、より信仰心が強くなり、祈りの気持ちが高じて完全にベジタリアンになったそうです。その頃ご主人はまだ鶏肉を使ったチキンライス店を経営しており、奥様は (今のホーカーではなく) 違うお仕事をされていました。
その後、奥様の宗教的信仰心がどんどん高まるにつれて、ご主人が動物の命 (鶏の命) をいただいて食べ物を販売していることにある種の違和感を感じるようになり (英語で罪深い気持ちとは仰っていませんでしたが、意味合いとしてそれに近いものだろうと理解しました) 7年前から鶏肉のチキンライスをやめて、ベジタリアンチキンライスを売るようになったそうです。長年鶏肉のチキンライスを作って、売ってきたご主人にはとても大変なことだったそうですが、「主人はとても頑張った」と話す奥様のその一言にぐっときました。いろいろな事は聴きませんでしたが、奥様の眼が感慨深そうなことを物語っていて、ご主人が頑張ったというその一言にたくさんの想いが詰まってるのだろうと感じました。
余談ですが、シンガポールでは何かしらのタイミングで敬虔な宗教的信仰心を持つようなったり、敬虔でなくても以前は無宗教だっけれど特定の宗教を信じるようになる方、仏教だけでなく全ての宗教でそういう方、多いです。結婚を機にパートナーの影響を受けたり、出産だったり、多いのは身近な家族の死だと思います。若い頃は宗教に無関心だったけれど何かしらの出来事がきっかけで信心深くなったり、私の身近な人でも多くいます。私はまだまだ信仰深くないですが、夫と夫の家族から影響を大きく受けており、私自身もそういう 1人なので、奥様の気持ちはよくわかりました。
奥様も、お兄様が亡くなる前までは信仰心は強くなかったとお話しされていました。このベジタリアンチキンライスにそんなストーリーと想いがあったとは、お話を聴いてぐぐっ…。
奥様に貴重なお話し聴かせて下さりありがとうございますと伝えると、ご主人がちょっと待って、ちょっと待って、とカレーとナゲット(もちろん両方ともベジタリアン) をご馳走して下さり、その心遣いに感激。でもチキンライスセットを頂いておなかいっぱいの私たち、お持ち帰りにしてもらってお店を後にしました。
Sow ご夫妻、素敵なご夫婦なので写真をもう一度! なんだか目元がそっくりなご夫妻。夫婦は一緒にいると似てくると言いますが、まさに。 もし行かれることがあれば、私と知り合いではなくても日本人の友達に聞いてきたよ!って伝えてください。きっと喜ばれると思います。
奥様はいつもテキパキとしっかりお店を仕切っていて、お話し聞いてみたいけれど話してくれるかな~と、じつはちょっと恐る恐るなところもあったのです。一緒に行ってくれたお友達たちがいなかったら貴重なお話も聴くことができなかったと思います。いつも一緒にホーカーめぐりにつきあってくれるお友達に感謝!
私もまた再訪してブログに書いて宣伝したよ!と伝えに行きたいと思います。
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イラスト提供 Instagram @singapolah