LKY 100
1923-2015
LKY の 3文字を見てご存じない方もいらっしゃると思うので。 LKY とは Lee Kuan Yew 氏の名前を表す 3文字で、シンガポールで LKY エルケーワイ と言って、意味が分からない方はシンガポール国民以外の方でしょう。
ずいぶん前に、戦跡ツアーの写真資料を印刷屋さんで拡大プリントするのに (A3 の大きいサイズは自宅のプリンターでは印刷できないので) 画像データを持って行ってこれ A3 でプリントお願いしますと頼み、数枚頼んだうちの 1枚がリークアンユー氏の横姿の写真。
大きく拡大プリントされた 1枚が出て来て、コピー屋さんのおじちゃんに、これは LKY だなぁ、と感慨深い口調で言われたことがあったっけ。そんな些細な日常の出来事など、シンガポールの父は、多くの人々の心の中で生き続けているのを感じることが今でもたまにあります。
今年はリークアンユー生誕 100周年。1923年(和暦だと大正12年!) 9月16日生まれ、2015年に 91歳で亡くなられました。
リークアンユー氏の功績を称え、若い世代にもリー氏の伝説を伝え続けるために、今年は LKY 100 をテーマにした記念展示などがあちこちで開催されていますが、リー氏の誕生日だった 9月16日から始まったチャンギ空港 Jewel での展示を見に行ってきました。
ニュースでその展示をやっていることを知り (* Straits Times ニュース記事) 夫に Jewel でリークアンユーの展示やっているみたいだけど見に行ってみない? 娘も空港で遊べるしと言うと、なんで Jewel でやってるの? と言うから、だってチャンギ空港はリークアンユーの brainchild でしょ。と言うと、夫は LKY の brainchild なんて空港だけじゃなくてシンガポールじゅうだよ! とちょっとおどけて言った。
たしかにね、夫の言うことは正しくて、シンガポールはリークアンユー氏の想いを具現化した国といっても過言ではなく。まぁ、そんなことを話しながらチャンギに向かった。
チャンギ空港に一歩足を踏み入れると毎回感じるのは、旅行でも旅行でなくても、急に空気がパーっと明るく開けるようなワクワク感。在星の方や以前在星の方の多くが同じように感じるのではないかと思います。
‘The Courage to Dream – The Making of the Changi Airport Story’ 30分ぐらいあれば見られるコンパクトな展示でしたが、リー氏とチームが一丸となって困難を乗り越えながらチャンギ空港を誕生させ、国際的ハブ空港に導く様子は見応えのある内容充実の展示でした。
1970年代 シンガポール一般家庭のリビングルームという設定で始まるストーリー。家のテレビで流れているのは、当時のパヤレバ空港からチャンギ空港へ移転の可能性について、リー氏が国民を前に演説した際の映像。
1970年代に国際航空重要が増えてきたタイミングで、パヤレバではキャパが小さ過ぎる。シンガポールにハブ的な空港を作らなければ、人の流れ、物の流れはバンコク、KL、ジャカルタに行く。だからシンガポールに国際ハブ空港を作る必要があるという内容のリー氏演説。
しかしながら、チャンギ移転、新たな滑走路建設は莫大な投資金額がかかることなど、パヤレバ存続派とチャンギ移転派に分かれ、リー氏の移転案に賛成する者ばかりではありませんでした。
チーム内での調整を行い、移転を推し進め、第二滑走路の建設が決まった直後の 1973年10月、オイルショックで燃料費高騰、航空需要が急落し、再び困難が襲い掛かります。チャンギ空港建設は本当に必要なのだろうか? 自分の決断は間違っていたのだろうか? と、リー氏は一時的挫折感に苛まれるものの、移転案を再度慎重に考え直す機会と時間的余裕を与えられたと前向きに捉え、その後ハブ空港への実現を更に強力に推し進めることに。
また、チャンギ空港移転はリー氏の壮大な構想であり、その具体的な計画や建設を実行したチームメンバーの知られざる秘話はとても印象深く、私はその内容がまとめられた動画を 3回は続けて見ました。ここで丸椅子に座って。
数分の内容の動画の最後で
“If there’s no Lee Kuan Yew, there will be no Singapore. If there’s no Lee Kuan Yew, there will be no Changi Airport.”
「リークアンユーがいなかったら、シンガポールはなかったし、リークアンユーがいなかったら、チャンギ空港もなかった。」
と話しているフレーズが特に印象的で、ここで最初の夫との会話、夫が言った 「LKY の brainchild なんて空港だけじゃなくてシンガポールじゅうだよ!」の言葉と一致して繋がって、いい展示だったねと話しながら展示スペースを後にしました。
Jewel の最上階。ドームのガラス窓を通して入ってくる自然の太陽光と、展示物の所々にその光が映って、影がゆらゆらと揺れているのが何とも言えない穏やかな展示スペースでした。そして旅行者ではなく、この展示を見に来たと思われるシンガポール人の方たちが、あれこれとコメントしながらじっと見入っている様子も印象深かったです。
展示を見た後の Jewel の眺めはまた一段と違って入ってきました。
ターミナル間を走るスカイトレインから Jewel の眺め
■ 無料展示
The Courage to Dream – The Making of the Changi Airport Story
Jewel 5階にて 2023年9月16日~30日まで
* 9月30日以降は空港内で別の場所に移って展示する予定なので、詳細はお楽しみにとのこと。
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