延期開催ナショナルデーパレードが無事終わったのも束の間、8月23日 アメリカのカマラ副大統領がシンガポールを訪れました。
リー首相との共同記者会見他、昨日、カマラ副大統領のシンガポールでの1日は見応えあり、東南アジアの小国シンガポールを舞台に、今後の世界の動きを見るかのようなダイナミックさを感じるものでした。
大きな見どころがいくつかあり、世界的な視点、アメリカとしての視点、シンガポールとしての視点、他国から第三者的に見る視点、様々ですが、個人的にはシンガポールのスマートな外交力を感じるものでした。
大国、世界のリーダーであるアメリカを相手に、こんなに小さな国が臆せず飄々と。でも相手国のハートにぐっと入り込みがっちり手を繋ぎ関係を作り上げる。米中の対立が深刻化する中で、アメリカにも中国にもスマートに立ち回れるのは世界でシンガポールだけと言っても過言ではありません。英語でのビジネス習慣による欧米的思考はドライでクールな面。対して華人独特、アジア人独特のウェットな面との絶妙な組み合わせは、文化的、地理的、歴史的背景が最大限に活かされています。
カマラ副大統領とリー首相による共同記者会見の中で、リー首相がシンガポール最大の直接投資国はアメリカであり、アメリカからシンガポールへの直接投資は、アメリカから中国、インド、韓国への合計投資額よりも多いとの一言もありました。
また、アメリカとシンガポールは経済的結びつきが強固なだけでなく、軍事協力でも強固な関係にあり、特に近年は軍事でより深い関係をつくりあげています。アメリカはシンガポールの空軍基地、海軍基地を使える協定を結んでいます。そしてシンガポールはアメリカに空軍基地を持ち、シンガポール空軍はアメリカで常時訓練をしています。今回のリー首相スピーチによると、シンガポールはアメリカで最大級の外国人軍事施設を保有しているとのこと。
小さな国で、領土も領空も限られたシンガポールにとって、アメリカは最大の訓練地であり、シンガポールに万が一有事が起きた時、空からはアメリカやオーストラリアからも駆け付けられるように危機管理されています。
経済的にも軍事的にもいっそう両国の関係を深め、現在世界が立ち向かうコロナに関する対応他、お互いに協力し、国として発展し続けてまいりましょうといった内容でした。
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カマラ副大統領のシンガポール訪問で、小さなボート、シンガポールが世界の大海で荒波を上手くよけながら飄々と進んでいく光景を見たような気がします。独立当時、木製で手漕ぎで進んでいた小舟は、今や最新機器を備え、ちょっとやそっとの嵐なら問題ない頑丈なボートにアップグレードを重ねてきましたが、シンガポールの船が巨大になることは今後もないでしょう。小さなボートの特色を生かし、エンジンのパワフルさ、小回りや機動力の良さに改良をし続けていくのが、世界の海を渡り続けていく唯一の手段。
カマラ副大統領のソーシャルメディアでシェアされていた一枚の写真と一言。” A productive day in Singapore.” の一言に凝縮されるように、有意義なシンガポール訪問だったことが分かります。
お2人の後姿は、数年後、カマラ副大統領がアメリカ初の女性大統領になって、右側はローレンス首相になったりして…な~んて妄想をしてしまいました。
今朝は Straits Times 新聞紙面の一面もいい写真でした。
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