シンガポール北東部、セレター地域。Seletar はマレー語で、この辺り一帯に住んでいた先住民族 オランセレターのことを指します。オランセレターの人々はセレター川とジョホール海峡の湿地帯に住んでいました。
1920年代、イギリス軍がセレターの地を空軍拠点とします。同じジョホール海峡沿岸のセンバワンを海軍基地とし、センバワン海軍基地とセレター空軍基地は、イギリスから見て更に東の日本へ攻めていくための重要な軍事拠点でした。
第二次世界大戦中、日本軍によるシンガポール占領時にはセンバワン海軍、セレター空軍共に日本軍の軍事拠点として使われました。第二次世界大戦終結後、シンガポールは再びイギリス植民地に戻り、1965年シンガポール独立、その後 1970年代初頭までにイギリス空軍はシンガポールから完全に撤退します。
空軍拠点としての歴史が残るセレターですが、イギリス軍が軍事空港として使っていたセレター空軍基地は、セレター空港となり、現在は商用飛行、訓練飛行、私用機のための小型機向け空港として使われています。また、セレター地区はシンガポールの航空産業、宇宙産業拠点として現在も開発が続いています。
昔も今も、セレターと言えば航空関連の地。イギリスの面影が残るスポットが多く、シンガポールでありながらここにはちょっと違う空気感が漂っています。
セレターを目指すならまずはここ。Seletar Aerospace Park はセレター地域の再開発と共に 2017年にオープンした新しいスポット。デンプシーも旧イギリス軍が使っていた軍の宿舎などバンガローを飲食店やお店仕など商業向けとして再開発したエリアですが、セレターもコンセプトは全く同じ。セレター地区にも残っていたオレンジの瓦屋根に、ブラックアンドホワイトが印象的なコロニアルバンガローが集まっています。
Aerospace Park に入っていちばん奥まで行くと、フェンス越しにセレター空港を見ることができます。いつも小型機やヘリコプターが停まっています。離着陸の様子も見ることができます。
飛行場に沿ってボードウォークになっています。小さなお子様と一緒のご家族にもおすすめ。
紙飛行機の形のベンチ
Aerospace Park 内に保存目的で残されたコロニアルバンガローが 32棟。瓦屋根にブラックアンドホワイトでどれも似たようなつくりですが、平屋だったり、2階建てだったり、大きさもいろいろ、パーク内を散歩しながら見てみるととても面白いです。これらはイギリス空軍時代に軍で働く方のご家族が住んでいた宿舎や軍の施設として使われていたもの。再開発以前の古いセレターを知る方は、もっともっと無数にバンガローがあり、今残っているのは数少ないと聞きましたが、1930年代頃に建てられ、築年数 90年ぐらいになる貴重な建物です。
■ Wheeler’s Estate
https://www.wheelersestate.com/
■ THE SUMMERHOUSE
SUMMERHOUSE はカフェ、バーなど4つのセクションがありますが、朝8時半からオープンしていていちばん気軽に利用できる Wildeed Cafe のお客さんがほとんど。
https://www.thesummerhouse.sg/
パーク内には他にもいくつかのレストランがあります。
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セレター地域は、将来的には航空産業とともに注目されている宇宙産業への参入も見据えて整備をしています。10年後、20年後、宇宙産業が活発になってから準備したのでは遅いので、今からその時に備えてスペース、施設を整えています。その時が来たら急に動き出す面白い地域になるでしょう。現在は緑豊かでとても穏やか、ゆっくりした時間が流れていて、再開発のスピードはまだゆっくりですが、今よりも 20年前のセレターを知る方が、セレターは様変わりしたと言うように、今の穏やかな時のセレターを知っているのが貴重になる時がすぐにやって来ると思います。10年後どんな風に進化しているかも楽しみな地域。
今日ご紹介した Aerospace Park は小さなお子様のいらっしゃるご家族向け。ご夫婦やお友達同士での大人向けには周辺にヘリテイジスポットがいくつかあります。この辺りゆっくり歩いてみると気持ちがよいので、別記事でご紹介します。
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イラスト提供 Instagram @singapolah