シンガポールホーカーめぐり 114ヶ所全て訪れました

2019年3月末、シンガポールはホーカー文化を無形文化財にする登録申請をユネスコに提出しました。登録が受諾されユネスコ無形文化財になるかどうか、その結果は2020年末と予定されています。コロナの影響で時期がどれくらいずれ込むのか分かりませんが現在も結果待ちです。

 

「ホーカー文化を無形文化財に!」このことをきっかけに、昨年4月からシンガポールにあるホーカーめぐりを始めました。

 

シンガポールにあるホーカーは全部で 114ヶ所

 

行ったことがある所も多くゼロからのスタートではなかったので、昨年中に全部行けると見込んでいましたが、後半10~12月にかけてガイド資格取得の講座と最終試験に向けて時間がとれなくなり、昨年中の達成は断念。年が明けてから、昨年度中の今年3月末までに、と思っていたところコロナに入り予定が延び延びとなりましたが、先日ようやく 全114ヶ所 訪問達成しました!

 

最後にずっと残っていたのが Kampung Admiralty Hawker Centre と Pasir Panjang Food Centre の2つ。どちらも駅直結のホーカーでアクセスも悪くないのですが、不便な所から先に行こうと思って残ったのがこの 2ヶ所でした。達成感、思ったよりぜんぜんないです (笑)  それはなぜか考えてみると、シンガポール人にとって、マーケットとホーカーは日常生活の一部であり特別な存在ではない普通にあるもの。その感覚は私にとっても同じで、全部のホーカーに行ったからと言って何か終わりがあるのではなく、明日からもまた同じ日常がある。そんな感じでした。確実に変わったことと言えば、ホーカーめぐりを通して、現地の人への更なる親しみが湧いたこと、マーケット、ホーカーを通して見た、感じた、人や文化への理解に深みが増したことでした。

 

やっぱり『人』

 

114ヶ所のホーカーに行って感じたこと。ホーカーは単に安くて美味しい物があるだけの場所ではなく、そこには食文化を越えた人間模様や歴史があること。あそこのホーカーに行ったらあそこのお店が美味しい、何々が美味しい、それももちろん知りたい! でもそこではない。そこにいる人がどういう想いがあってその食べ物を作っているのか、その人にはどんな背景があるのか、その人の「物語」を聞いたり、聞かなくても見えてくる「何か」を感じるのがいちばん好きです。

 

 

お店の人以外にも、私と同じ立場でマーケットやホーカーに来ている人との何気ない会話からも多くの気づきがあります。そう、ホーカーは食べ物を食べるだけではない重要な社交の場であること。混んでいる時間帯に食べ物を持って席を探していると、ここ座っていいよと声をかけてくれる人が必ず表れます。また相席で食べていると、話しかけられたり。美味しいもの食べているとそれどこにあるのと聞かれたり。日本だと公共の場で、見ず知らずの人とそんな風に気軽に言葉を交わす機会、なかなかないです。

 

この写真はお友達同士なのでしょうか、テーブルでとても楽しそうに何やらやっていたので、何しているんですかと聞いたところ、マーケットで買ってきたもやしの豆とりをしていました。お喋りもして、手も動かせば楽しいでしょう! そして今夜のおかずになるのよ、とおばちゃん。こういうシーンにほんと、ほっとさせられるのです。(昨年撮った写真です)

 

ホーカーでいちばん好きなお店は飲み物屋さん

 

ローカルフード。好きな物はたくさんあって、何がいちばん好きかと問われたらどれも甲乙つけがたいですが、食べ物よりも一番好きなのがコピ。冷たい飲み物なら シュガーケーンジュースやココナツにそのままストローさして飲むのもいいですね。飲み物屋さんは売っている物はどこも同じ。特にここのコピが美味しいお店ってないです。だからこそキーになるのが「人」。飲み物屋さんを考えた時に浮かんでくるのは、私の場合、飲み物その物よりも、あのお店にいるあのおじちゃん、あのおばちゃんの顔。

 

お店によっていろいろな種類があるカップの 1つ1つもおもしろい。

 

もう少なくなりましたが、空き缶を使った持ち帰り用コピで、こんなのもあります。

 

それからこれは飲んだ後のカップが集められて洗われる前。他人が使った後のもので、汚いと感じる方も中にはいらっしゃるかもしれませんが… ローカルフードシーンがアートのようになる一面だと思います。

 

ホーカーのお店の看板

 

ホーカーのお店は、限られたスペース、ほぼ同じ大きさで、どこも似たり寄ったりに見えますが、看板のデザインやお店の名前を見ると、どんなお店なのか全体像がだいたい見えてきます。チャイニーズのお店では看板を見れば 福建、潮州、客家、海南の別は分かりやすいです。(広東人、広東料理のお店はいちばん分かりにくい) シンガポール人ではない中国系のお店も看板でほぼ分かります。ハラル料理の場合、レストランはハラル認証をとりますが、認証取得はコストがかかるため、ホーカーの場合ハラル認証をとらない所が多いです。ハラルマークがなくても、ハラルかそうでないかは看板を見れば分かります。

 

多文化、多民族で看板の言語表示もさまざま。1つのお店に 中国語、英語、マレー語と 3言語あるお店もあり、シンガポールならでは。

 

ホーカーと選挙区は関係あるのか?

 

ちょっと別の視点から。

 

全部のホーカーに行って気づいたこと。ホーカーが多い地域と少ない地域があります。意外だったのがタンピネスは大きな街なのに、タンピネスにあるホーカーは 1つだけ。ホーカーがいちばん多い地域は、首相選挙区のアンモキオ 9ヶ所。次いでべドック 8ヶ所。トアパヨ 6ヶ所。センカン、ポンゴルに至ってはゼロです。これは地域性も関係していて、古い街にはホーカーがあり、センカン、ポンゴルなどニュータウンは住民層が違うのでマーケットに行く住民が少なく、ホーカーをつくらない代わりに、民間企業のコピティアムが参入する形をとっています。

 

今あるホーカーのほどんとは、リー首相が首相になる前からあったと思いますので (詳細は調べていません) 「アンモキオはリー首相選挙区 = ホーカーがたくさんある」の方程式が本当に成り立つのか真相は分からないのと、理由はそれだけでなく複数の要素があるのでなんとも言えませんが、ホーカーを作るかどうかは政府が決めており、政治、選挙区と無関係ではありません。

 

<シンガポール ホーカーリストはこちら>

ホーカーは NEA (環境庁) が管轄しています。現在全部で 114ヶ所ですが、建設中の所もあり今後も増えるのと、老朽化や地域住民のニーズの変化など、諸々の理由でなくなる所も出てくるでしょう。 NEA による PDF リストはこちら

 

折り目が切れてくるまで使ったリスト

 

ホーカー、ホーカーフードの話題は尽きず。おすすめのホーカー、美味しいお店、ローカルフードのご紹介は今後も追々アップしていきます。ホーカー全部行った! という区切りは一回できましたが、ホーカーめぐりの旅はまだまだ続きます。むしろ、達成するという枠がなくなって、ここからがスタートなのかもしれません。

 

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イラスト提供 Instagram @singapolah

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