Happy National Day ~ 逆境と困難を前進する力にして

Happy National Day, Singapore !

 

シンガポール 55回目のお誕生日おめでとうございます。

 

この数年、毎年ナショナルデーの日の朝は、シンガポールが誕生した日のことを書いています。ナショナルデー、今はシンガポールが誕生したことをお祝いする日ですが、シンガポールの始まりは悲しく絶望的なものでした。独立後の草創期はお祝いと言うよりも、みんなで力を合わせて国づくりをしていこう、困難に共に立ち向かっていこうと、国民を鼓舞する意味が強かったのが、シンガポール初期のナショナルデーです。

 

8月9日を Independence Day 独立記念日ではなく National Day 建国記念日と呼ぶことにも意味があり、国民が望んで勝ち取った独立ではなく、望まない形での独立でした。

 

イギリスによる植民地から、1963年 シンガポールはマレ―シア連邦の州となり、マレーシアと共に独立することを望んでいましたが、マレーシア連邦の一部だったのはわずか 2年の短い期間にとどまり、1965年8月9日 マレーシアから突然の追放を言い渡されます。

 

君たちとは一緒に独立できなくなったから、君たちだけで独立してくれ。政治的、宗教的、人種間の課題など、様々な要素が重なり、マレーシア連邦にとってシンガポールは不要になり、追放されました。まったく予想していなかった形で、シンガポールは厳しい『独立』の現実を突き付けられます。

 

困難な中で始まったシンガポールの誕生。毎年 8月9日、今一度想い出したいこの歴史と、その時のリークアンユー氏の独立記者会見。シンガポール建国の父 リークアンユー氏は、絶望の中で独立することを国民へ伝える記者会見の最中に涙します。ご存じの方も多いと思います。 もう何度も何度も見た方も、この機会にまたご覧ください。何度見てもぐっときます。

 

動画前半、Would you mind if we stop for a while. と言って会見の中断を求め、しばし中断の後、動画から分かるように声のトーンがぐっと変わります。

 

There is nothing to be worried about. Many things will go on just as usual. But be firm, be calm. We are going to have a multiracial nation in Singapore. We will set the example. This is not a Malay nation, this is not a Chinese nation, this is not an Indian nation. Everybody will have his place. Equal. Language, culture, religion.

 

揺るぎない決意を感じる力強いスピーチ。

 

この言葉に込められたシンガポール魂は、今年これまでのコロナ禍で私自身も何度も想い出しました。そしてリークアンユー氏の意思は、彼がいなくなった今でも広く国民の中に残っているのを感じることが日常的にあります。シンガポールの原点です。

 

この独立記者会見は、シンガポール国立博物館にも動画の展示があり必見です。

 

Singapore is out の大きな文字が衝撃的な 1965年8月9日の新聞も国立博物館に展示されています。

 

シンガポールの小学校では 4年生の社会の授業でこの歴史を始めて学びます。1965年8月9日の歴史についてのページでは、リークアンユー氏の涙の記者会見にも触れ、シンガポールが悲しく困難な状況で始まったことについて記載があります。

 

シンガポール小学校4年生、社会の教科書(そのページ)

 

独立後、シンガポールはたった半世紀で奇跡的な発展を遂げ、経済的にも世界的な地位を確立します。今では、都市と自然が融合する南国の綺麗な街並み、世界トップクラスの海運港、国際空港、金融ハブ… ときらびやかな面に目を向けられやすいですが、めざましい発展と成功の数々の根底にあるのは、逆境と困難、そしてこの国の人々が重ねてきた努力と苦労。

 

シンガポールは世界中の人に魅力ある多様な都市づくりに取り組み続け、世界から人を呼び寄せることで発展し続けてきた都市国家ですが、コロナ禍で外から人が入って来れなくなった今年、大きく打撃を受けました。しかし、どんなに困難な時も、過去の数々の逆境も、シンガポールの人々は常に前向きに乗り越えてきました。常に前進し続けてきました。 だから国歌は “Majulah Singapura” (進めシンガポールの意味)です。

 

今年のナショナルデーのテーマ、ロゴにも込められた TOGETHER A STRONGER SINGAPORE 今日はそんなことを改めて感じる 1日になることでしょう。

Happy Birthday Singapore.  Stay Safe, Stay Strong and Stay United.

 

バナーをクリックで応援お願いします!

にほんブログ村 海外生活ブログ シンガポール情報へ
にほんブログ村
イラスト提供 Instagram @singapolah

右上角の赤いメニューから、読者登録ページで Email アドレスを入れて頂くと、ワードプレスのシステムより記事が更新された時に、お知らせが届きます。アメブロの読者登録機能と同じです。どうぞご利用ください。