感動と涙 ~ LKY ミュージカル、最終日最終公演

昨晩、シンガポール中心部は F1シンガポール GP ファイナルで熱気に包まれた夜でしたが、9月から 1ヶ月に渡って公演が続いていた LKY ミュージカルも最終公演の夜でした。9月は忙しくてなかなか時間がとれず、なんとか予定が合ったのが最終日の最終公演。LKY ミュージカルも F1 ファイナルに負けないぐらいの熱気と盛り上がりで感動的でした。

 

最終公演は夜 18時半開演。数時間後に F1 ファイナルが始まるマリーナベイ周辺を横目にしながら、会場のマリーナベイサンズシアターへ。

 

その前日、義父の誕生日のお祝いがあり、久しぶりに家族全員が集まって中華料理店で夕食を共にしました。20代後半の姪っ子が私に、LKY ミュージカル見た? と聞いてきたので、最終日の明日行くよ~と話しが始まり、彼女が感想を話し始めました。以前イギリスに留学していた姪っ子はロンドン標準と比較していて、シンガポール産ミュージカルについて、悪くないし、それなりに楽しんだ、と最後はまとめていましたが、ほとんどの内容はダメ出しでした。

 

夫はそれを聞いて、なんかもう見なくてもいいな、ハハハハと笑い飛ばしていましたが、私は参考程度に聞いていました。感じ方、受け取り方は人によって様々で、翌日の公演で、姪っ子が話していた内容が何だったかも忘れてしまうぐらいダメ出しの印象は完全に覆され、感動的で素晴らしいミュージカルでした。

 

日本によるシンガポール占領のシーンから始まり、ミュージカルが始まってすぐ君が代を歌う場面あり。粛清 (華僑虐殺) のシーンも印象深かったです。リー氏は日本軍憲兵隊による検査を、忘れてきた物があるから取りに行ってもいいかと噓をついてその場から逃れる話 (もしその時に逃げていなかったら、日本軍によって殺されていた可能性もあり得る。) は、これまで本やオンラインなど文章で何度も読んだことはありましたが、役者さんによる演技が伴うことで、今まであった知識が動きを伴って私の中に深く入ってきました。

 

印象深かったシーンが多すぎて挙げきれなく、ひとつひとつ書き切れないのですが、特に感動したのは、リークアンユー氏の活躍、様々な苦難を乗り越えていくその裏では、いつも彼を強く支え続けた最愛の奥様がいたこと。夫婦仲睦まじいシーンが多々ありつつも、そこに織り交ぜられた奥様の芯の強さ。LKY 役の Adrian Pang と、奥様役の Kit Chan がそれを見事に再現している姿に感動し、生前のリー夫妻がよみがえったような気がして何度か涙が出てしまいました。Adrian の話し方や身振り手振りがリークアンユー氏に似ているんです。特にぼそぼそ話す話し方は、リー氏に似ているように相当練習したのかもしれません。またシンガポールを代表する歌姫 Kit Chan さんのお腹から湧き出るような安定感ある声はさすがシンガーでもあり、女優でもありと、納得と抜群の迫力。

 

会場のポスター、左が LKY役 Adrian Pang さん、右が奥様役 Kit Chan さん。

 

エンディングの歌は Majulah Singapura、シーンはリー氏の涙の独立会見。キャストの皆さんが国歌を歌い始めると、観客もスタンディングオベーションでシンガポール国歌を一緒に歌い、最高潮に盛り上がりました。私も腕が痛くなりそうなぐらいずっと拍手して、手を振ったら、役者の方が指差しで手を振って返してくれたのも嬉しかったです。

 

製作、演出、役者さんなどすべてがシンガポール産のミュージカル。基本は英語ですが、中国語字幕つき。ショウの中では時折、福建語、マレー語が飛び出すのもシンガポールならではで、まさにシンガポール人によるシンガポール人のためのシンガポールを深く理解するミュージカル。

 

リークアンユー氏の生涯やシンガポールの歴史など、ある程度基礎は知っていないと楽しめる内容ではないかも。でも詳しく知っている必要はまったくありません。今回の公演は終わりましたが、次回開催される時はぜひ観に行ってみてください。観るというよりも、音楽、演技、感情を心身全体で感じる体験型ショウとも言えるかも。

 

 


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