ハリラヤハジの当日。ライブコルバン(生きた動物を屠殺する犠牲の儀式) の申込をしていたパシリスの Masjid Al-Istighfar イスティファーモスクへ行きました。
よいお天気で青空に映える青が美しいモスク

第1話はこちら ライブコルバン・命と信仰に触れた日 ~ ハリラヤハジを理解する (1)
まずは受付から。事前に動物を購入し、支払いを済ませているので、モスクから受け取っている QRコードを見せて受付。受付番号と冊子などが入ったエコバッグを受け取って、自分たちの順番が来るまで待ちます。

受付番号の他にパンフレットとエコトートバッグを受け取りました

モスク内で思い思いに時間を過ごして待ちます

モスクではビリヤニのお昼ご飯も提供されていて、ちょうどおなかが空いてきたお昼過ぎに有難く頂きました。顔の大きさの 2倍以上はある丸いプレートに入ったマトンビリヤニ。2人で食べるので少な目でと言ったのにたくさん食べなさいとかなりの量を盛られて。

受付番号がモニターに出るので、スムーズに進んでいるなと思っていたところ、途中でお昼休憩になったり、お祈りの時間があったりで中断もあり。急にスローダウンしてしばらく止まったり、再開するとまたエンジンがかかったように急ピッチに進み始めたり。アナウンスがマレー語だけったり、時に英語でも案内してくれたりと、起こる全ての出来事が興味深く 1つ1つを楽しみました。
当日以前に受け取っていた案内に 2時間ぐらいはかかるとあったのですが、結果的に順番が来るまで 3時間半程待ちました。長かったけれど待っていたときのこと思い出すと愛おしい時間でした。
異なる信仰を持つ日本人の友達同士 2人がモスクの床に座ってライブコルバンの順番を待っている。それだけでも充分すごいことだと思ったけれど。そこでした話は他愛もないことから、普段なかなかできない話まで。
本棚に並んでいるコーランをとって開いたり

こちらはコーランの中国語訳、アートのように美しいページでした

そしてようやく私たちの順番が回ってきました。
こうしてモニターに番号と名前が出て呼ばれるのですが、わたしたちの名前はモニターの左下に出ています。小さくなって見えにくいですが Misato Megumi その下に SHEEP と出ています。

ライブコルバンはモスクの外にある特設テントで行われていました。番号順に呼ばれてテント内に入るとブースに分かれていて、自分たちのブースの前に立ちます。

ブース内には 5人のスタッフと銀色でステンレス製の処理台。間もなく、生きた羊が4人のスタッフに 足と顔を抱えられて入ってきました。これがまた羊さんのお顔がばっちり見える状況でブースに入ってきて、なんともかわいいお顔をしているのです。この子が殺されるのはかわいそう…。もちろん顔がかわいい、かわいくないに限らず生きた動物がそこに入ってきた時点で、そのような感情を持つのが普通ではないでしょうか。
複雑に感じているところ、そんな感情を味わう間もなく羊は処理台に乗せられます。羊が動かないように足と頭をスタッフに抑えられます。スタッフの方達が手慣れているのもあるのでしょうけれど、羊もその時点ではじたばたするような事もなくじっとしていました。アッラーフアクバルと繰り返し唱えながら、心の準備などする間もなく、そこに鋭いナイフが落とされ、一瞬にして首の急所をばっさりと切り落とされます。私はナイフが出てきた瞬間、切り落とされるその瞬間は怖くて見られませんでした。少し顔を横にそむけて、半分ぐらい目をつぶって見ない (見れない) ようにしていましたが、数秒ですぐに目を開けたらもう首が切れていて、ぱっくりと開いた首からは鮮血が水のように流れ出ていました。
血がものすごいさらさらで、綺麗な血。血とは思えないような美しい赤でした。羊が運ばれてきてから、命が絶たれ、その後しばらく立ち尽くして見届けるまでほんの数分の出来事です。その間、衝撃で言葉はありませんでしたが、後で2人で話したのは、血がすごくきれいだったね、と。
残酷に聞こえると思うし、残酷だと思います。衝撃であることにも間違えありませんが、私達2人が感じたのは残酷さとは全く違うものでした。残酷とかかわいそうと思うのは違うな…と。
命あるものの犠牲によって人間の生活があることを衝撃に突きつけられ、スーパーに行けば当り前に買えるお肉に感謝の気持ちなど忘れている自分への愚かさを思い知ったり。自分たちで選んで、決めて、行動を起こして犠牲の儀に行ったわけですが、それは全て導かれ、与えられたものと捉えれば、なんとも言えない温かい感謝の気持ちになり、言葉では表現し難い高次元な体験でした。
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解体され、きれいにパッキングされたお肉となったものを受け取ります。

羊1頭の 3分の2をモスクを通じて貧しい方々へ寄付し、残りの 3分の1を持ち帰ることにしました。3分の1でも 5kg程ありずっしりと重かったです。小分けにされたジップロックの中に入っていて、私は 1袋だけを持ち帰りました。ビニール袋に入れてから、頂いたエコバッグの中に入れて持ち帰ったのですが、お肉が人肌のように生温かいのです。少し複雑な気持ちになりつつも、有難くいただこうと思ったのと、この儀式に参加できた感謝の気持ちが大きかったです。

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ハリラヤハジの翌日。前日の出来事を振り返りながら改めてコルバンについて調べたりしていました。そのときに見つかったコーランの一節。
“It is neither their meat nor their blood that reaches Allah, but it is your piety that reaches Him.”– Al-Hajj (22:37 Quran)”
:
「アッラーに届くのは彼らの肉でも血でもない。アッラーに届くのはあなたがたの敬虔さである。」
私が持っているコーランの日本語訳、英語訳でも確認できました。


私はイスラム教徒ではありません。でも人知を超えた神やその教えを信仰することで、日々の生きる知恵や力を与えられていると心身から分かるようになったのは、異なる宗教が共に存在するシンガポールで、それを実践している当地の人たちから教えてもらったことです。それは過去形でなく今も日々継続して。
シンガポールでこれまでに訪れた宗教施設は、仏教寺院、道教廟、キリスト教の教会(カトリック、プロテスタント)、イスラム教モスク、ヒンドゥー教寺院、ユダヤ教のシナゴーグ、シーク教のグルドワラ、ゾロアスター教の拝火神殿、創価学会(シンガポール)。神様や経典が違っても語られていることはほとんど同じです。だから、このコーランの一節は私の心にも響きました。
最後にお友達のみさとさん。彼女の力添えなしでは成し得なかったハリラヤハジのライブコルバン体験。こうしてまた友達との絆を深められたことも全てに感謝。テリマカシ。