シンガポール人男性の兵役義務 ~ 東京オリンピックを終え、オリンピック選手も兵役へ

シンガポール代表として、今夏東京オリンピックに出場した 2人の水泳選手。競技に集中するため 2016年リオオリンピック以前より兵役延期が長らく認められていましたが、東京オリンピックを終え、兵役に入るニュースが発表されました。

 

シンガポール人男性に兵役があることはご存じかと思いますが、兵役について先に少しだけ簡単に。

 

兵役とは

 

シンガポール人男性、そして外国人も永住権 (PR) を取得したご家族で、お子さんが息子さんの場合は兵役に就く必要があります。シンガポールでは National Service 一般的に NS と呼ばれ、兵役は義務。2年間、国へのお務めです。2年間のフルタイム兵役が終わった後も、一定条件を満たすまで Reservist 予備兵としてのお務めもあります。

 

18歳になると兵役に入ります。日本だと高校卒業する時点で 18歳ですが、シンガポールの場合、小学校 6年、中学校 4年、高校 2年の進路をたどった場合は高校卒業時点で 2年兵役をして、大学進学はその後。進学しない人は兵役が終わったら就職。

 

ただシンガポールの教育システムは複雑で、進路の選択が多様であり、6年-4年-2年 で進む人ばかりではないので、同年代の人がそろって 18歳で兵役に就くとは限らず、20歳、22歳など年齢には数年のバラつきがあります。様々な事情があって遅く兵役に就く人も少数ですが中にはいます。

 

兵役は免除されるのか?

 

兵役を延期されていたのは、オリンピック選手で水泳の Schooling選手と、Quah選手のお2人。2人は 2016年リオオリンピックにも出場。Schooling選手がリオでシンガポール初の金メダルを獲得し、東京でも期待されていましたが、ご本人もこんな納得できない終わり方はできないと話していたほど結果は残せず、次のオリンピック挑戦を待たずに兵役に入ることになったわけですが、Schooling 選手はお父様がガンを患っているなど個人的、家庭的にも様々な事情も抱えていたようです。

 

写真は Straits Times 記事より

 

2016年 リオオリンピックが終わって 2人の兵役延期が発表された時も、4年後の東京オリンピック後に、彼らが兵役へ行くのかどうかについて国民の関心を大いに集めました。国民の間では金メダルとったのだから、もう兵役は完全に免除してもいいのでは、いやオリンピックの成績が良かろうが、悪かろうが、時期が来たら兵役へ行くべきの賛否両論がありました。

 

過去 15年で兵役の長期延期が認められたのは、このお2人の他に 2008年北京オリンピック出場のお1人と、これまでに3人のみ。それぐらい兵役への特例は認められなく、免除ではなく延期が認められているだけ。兵役は義務であり責任であり、全ての人に公平で平等に扱われるのです。

 

全ての人に公平で平等

 

全ての人に公平で平等とは。医者だから、弁護士だからといった職業による免除、優遇はありません。お金持ちで大金を積めば兵役を逃れられるかと言ったらそんなこともあり得ません。逆に貧しい家庭で 20歳前後の息子さんが働いて収入を得なければ家が困るので、兵役に行かれては困るという家庭もあります。

 

両親や家族の誰かが重篤な病気、末期がん、余命を告げられている、様々な事情がある人がいたりしますが、何かに優れている、劣っているとか、個々の能力や事情によって判断されるものではなく皆平等なのです。

 

相談やサポートが必要な家庭の事情や問題については、軍は別途対応もしますし、必要に応じて休暇をとれたり、任務地の考慮など出来る限りの対応はしてくれます。

 

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シンガポール人男性としてすべての人が通る人生の通過点、兵役。公平で平等という観点で、オリンピック選手も選手として一区切りついて、任務につける時期が来たら、他の国民と同様に兵役に入る。夫は、当たり前でしょ、究極のこと言えば、みんな行くもの、彼らが兵役に行く事だって特別じゃないんだからニュースになることもおかしいんじゃない? と、ちょっと極端なことを言っていましたが、もしかして究極の平等を追究したらそういうことなのかもしれないと思ったりもしました。

 

最後に。能力による判断されないと先に書きましたが、兵役に入った後は個々が持っている能力を発揮し、個性を伸ばしたり、それに応じた任務があったり、多様な対応と環境があります。オリンピック選手のお2人も兵役に就きながら水泳競技の指導をするポジションを与えられる可能性もありますし、軍隊の中でもものすごく厳しい海軍のダイバーコースもありますし、選択はいろいろあると思います。

 

軍隊は身体とメンタルが資本。Mind over Body と言って、体力に自信のある人ですら強靭なメンタル力が問われることも多く、オリンピック選手のようにスポーツで心身共に鍛えた人に生かせることがたくさんあります。お2人は兵役中も多才に活躍してほしいなと思います。

  

■ Straits Times 記事
National swimmers Joseph Schooling, Quah Zheng Wen to enlist for NS as deferments have ended

 

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