現在 5回目の無料マスク配布中です。すでに受け取った方がほとんどだと思いますが、配布は 10月4日までですので、まだの方はこの週末に。自動販売機で受け取り可能。配布に関するサイトはこちら https://mask.stayprepared.sg
前回 4回目と今回 5回目 に配られたプリーツの入った布マスク、そして 3月末にあったサニタイザーの配布は Temasek Foundation が行っていました。1回目から3回目までのマスク配布は Temasek Foundation を通さずに政府が直接行っていた形になります。
Temasek Foundation というチャリティ組織ってどんな組織なのか? を知るとちょっとシンガポールの新たな一面がまた垣間見えてきたりします。
Temasek Foundation がどんな組織なのかを知るには Temasek Holdings を抜きにすることはできず、簡単に Temasek Holdings がどんな存在なのかから。
Temasek Holdings は シンガポール政府が保有する政府系ファンド。独立している法人ですがシンガポール政府が持っている政府の投資、資金運用部門のようなものと捉えると分かりやすいかもしれません。ただし政府機関ではなく、政府と密接に関わりを持っている 政府系組織 です。他に同じような企業でいちばん身近なのは Singtel、シンガポール航空。民間企業ですが Temasek Holdings が多くの株式を保有している企業は他にも多数あります。シンガポールのインフラ、主要産業を担っている大企業ばかりのため、コロナのような非常時でなくても官民一体となって機動力よくスピード感を持って動く体制が常にあるのですが、コロナ禍ではその様子が特に際立って見られました。そして Temasek Holdings の社長さんはリー首相の奥様 Ho Ching さん。
Temasek Holdings はシンガポール国民にはその存在はよく知られているものの、その実態はいちばん良く分からないと言える存在であり、税金、CPF (日本の年金に当たるもので国民から集めたお金) などを使って投資、運用を行いどれぐらい投資して、どれぐらい損失しているのかが公表されておらず、国民はその不透明さに不満を持っている部分もあります。
このコロナ禍ではシンガポール国民には政府から様々な金銭的救済措置、救済制度があり、大統領許可を通してのみ使える政府準備金からも莫大な資金が注ぎ込まれました。このような国家準備金も含め、シンガポールには国家としてどれぐらいお金があるのか? について国民はまったく知らない (知らされていない) のです。国会議員ですら分からず、7月の総選挙では野党議員は国家のお金について国民に公表するべき、という主張も争点の 1つとなり、多くの国民が国家資金の詳細につてい公表を望んでいることもあり、こういった一面でも国民が野党をより支持する結果となりました。
詳細は本当に不透明で分からないといったところですが、今回の国民への救済政策を見ても相当の潤沢な資金があることが分かります。
前述の通り政府系投資会社 Temasek Holdings のチャリティ部門が Temasek Foundation で非営利のチャリティ団体。障がいを持った方のコミュニティへの働きかけ、障がいを持った方の雇用促進活動、どんな立場の人も社会で活躍することができるサスティナブルな社会形成活動、環境問題に関するサスティナブル活動など幅広く多岐に渡っています。
コロナ禍では医療に関する支援、感染防止に関する支援を積極的に行っており、フェイスシールドの配布、飲食店などに設置するプラスティックシールドの導入、スワブテストができる簡易ボックスの導入、コロナ感染者を乗せる改造バス車両導入… これだけでもごくごく一部で、相当数のプロジェクトに関わって影からバックアップしている様子はソーシャルメディアを通して分かります。
無料のマスク配布、自販機設置なども、このような組織にとってみれば微々たる資金なのかもしれません。いやそうに違いないのでしょう…。
■ Temasek Foundation ウェブサイトはこちら
ドビーゴート駅の近く、便利な場所にありながら知られていない Temasek Shophouse は Temasek グループの社会的活動の発信拠点で、昨年 2019年6月にオープンしたばかり。Temasek Trust, Temasek Foundation, Stewardship Asia Centre と Temasek 傘下の 3つの非営利団体が共に活動する発信基地としてオープンしました。
■ Temasek Shophouse ウェブサイト
入ってすぐカフェ Foreword Coffee があり、こちらのカフェでは障がいを持った方を雇用しています。上階はコワーキングスペースがあり、廃棄物をリサイクルする法を作り出そうとしている会社など、サスティナビリティに特化した会社、社会活動を行っている会社が入っています。コロナ以前はそのようなスタートアップ企業がこのスペースでイベント、トーク会、セミナーなどを開催していました。プロジェクターとスクリーンを作って賑やかにイベントをやったりしていましたが、現在は 1階のカフェの運営だけで、とてもひっそりしています。取り立てて見るものはないのですが、どなたでも入れますのでお近くに行かれたら立ち寄ってみてください。
Temasek Shophouse イベントスペース
マスクの自販機も 2台あり、マスクの配布期間中は自販機以外に、テーブルにマスクを並べ有人での配布も行っているとのこと。Temasek Shophouse に行った友人から聞きました。配布期間中は無料のお茶サービスもあるそうです。
Temasek Shophouse 綺麗で趣きある白い建物、植民地時代の古い建物です。
前の通路が細いので、オーチャードロードを渡った向こう側からでないとビル全体は撮れません。
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ところでシンガポールの国のお金についての公表ですが、税金や国民が払ったお金から運用しているのであれば、詳細を知りたい、教えてほしいという国民の気持ちは当然だとも思う反面、うまく運用されている時は良いですが、損失が出た時は批判になるだけなのは目に見えていること。世の中って知らなくてもいい事や、知らないからうまくいっている事がいっぱいあり、この事に限らないのですが、私は非公開でもよいのではと考える派。なかなか難しいですね。
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イラスト提供 Instagram @singapolah