週末になると鳥かごに入れた鳥を持って鳥愛好家が集まる Bird Singing Club 日本語にすると鳥愛好倶楽部といったところでしょうか。
シンガポールに残る Bird Singing Club では最大規模 Kebun Baru Bird Singing Club はアンモキオのはずれにあります。
その場所に近づくと鳥達のいい声が聞こえてきます。
セクションが区切られていて、鳥の種類によって鳥かごをかける場所が決まっています。同じ鳥は同じ鳥どうしでいると、よりよい鳴声をかなでるのだそうです。まさに「共鳴」とはこのことだと思います。
空に高く伸びたポールのセクションは シンガポールでは Merbok と呼ばれているチョウショウバト (英語名 : Zebra Dove) ニワトリの変形のような声で コケッホホホホホ… のような声が特徴的。
ポールに鳥かごを取り付けたら国旗掲揚の要領で紐を引くと、鳥かごがするするっと上の方に上がっていく仕組みになっています。
ダイヤモンド型のような形をした鳥かごのセクションは、シンガポールでは Jambul と呼ばれるヒヨドリの種類 (英語名 : Red-whiskered Bulbul) 赤いほっぺとツンとした頭が凛々しくかっこいい鳥。
バティックの鳥かごカバーが渋くて素敵
円形で大きめの鳥かご、こちらは鳥さんのしっぽが長いので鳥かごもずいぶん大きめ。Shama と呼ばれ、日本名はアカハラシキチョウ (赤腹四季鳥) 赤腹、おなかの部分から下半身にかけて茶色がかったオレンジのような綺麗な色をした鳥です。
この鳥倶楽部、楽しんでいるのは男性のみ。男性だけが楽しむ趣味で、メンズ倶楽部なのが特徴的。女性はお断りというわけではないのでしょうけれど、ほんとに男性ばかり。家事で忙しい奥様に対して、ご主人は外に行って鳥仲間と社交し、奥様が家をお掃除したり、お料理をしている間は外で楽しむ、または家事を手伝わないなら座っていないでじゃまだから外に行ってて! といった感じかと。
Chong さん
やぁどこから来たの? と中国語で話しかけてきたチョンさんと話をしました。私のことを現地の人だと思ったようです。(よくあることです 笑) 愛好家倶楽部でも長老といった感じです。この近くに住んでいて、30年来、週末はほとんどここに来るそうです。健康的な趣味だよ、ギャンブルなんかするよりずっといいと仰っていました。
チョンさんと話しているとやってきた鳥仲間の方。自転車の前後に独自に作ったかごをつけて、鳥かごを運べるようにしていました。前のかごは扇風機のカバー! 丸い鳥かごにぴったりフィット、すごい工夫ですね。
歩いて鳥かごを持ってくる方、車に乗せてくる方、バイク、自転車ほんとうにさまざまな形で鳥かごを運んでいました。長年通っているかなりベテランと思われる方が多く、続々と鳥かごを持って現れると、みなさん やぁやぁとあいさつをして顔見知りの様子です。
鳥の鳴声を楽しむのもそうですが、社交の場であり、お喋りをしながらコピを飲んだり、新聞を読んだり。何をするでもなく木陰に座ってぼーっと過ごしたり皆思い思いの時間を過ごしています。都市生活で忙しいイメージのシンガポールとは違う一面を感じ、穏やかで平和だなぁと。
一年中暑いから寒いのを気にせずにいつでも気軽に外に出てきて、鳥どうしも楽しめて、人間も楽しめる、いいですね。定年後などお仕事がなくなっても何かを通して、お喋りしたり人に会える。日本のご高齢の方が、会う人もいなく行くところもなく孤独になりがちといった社会問題がありますが、このように人とのつながりを持てる場所があるというのはとても重要だと思います。
Bird Singing Club と言うと、仕事をリタイヤして高齢になった方の趣味と思われがちですが、そういった側面もあるものの、そうでもなくお若そうな方もずいぶんいらっしゃいました。
木陰に座って鳥を眺めて過ごしています
華人の方が多いですが、マレー人の方もインド系の方も民族を越えてお喋りしている様子はシンガポールらしい光景。そして男性ばかりが集まって鳥を愛でる様子はなんとも微笑ましく。現在はコロナでイベントは中止していますが、鳥の鳴声コンテストをやっている時もあります。お天気の良い週末に出かけてみて下さい。
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イラスト提供 Instagram @singapolah