ELSE クアラルンプール ~ 喧騒の中の隠れ家的ブティックホテル

年末に 4泊5日でマレーシアを旅しました。シンガポールからイポーに飛んで、イポーで 2泊。イポーからクアラルンプール (以下は KLで略します) へはマレー鉄道で移動し、KL で 2泊。

 

娘が小さい頃は無理だったけれど、14歳になって、マレーシア内を電車で移動する旅もできるようになったのは感慨深いです。子供が小さい頃は楽しいはずの旅行、息抜きでリラックスするはずのつもりが、じつは大変なことばかりですよね。我が家も娘が旅先で体調崩したり、熱出したり、体調が悪くて直前で旅行をキャンセルしたこともあったなぁ…。家族で思うように旅できるって時間のかかることだと感じます。

 

さて、今回 KL で泊まったホテルがとても素敵だったので、記録を兼ねたおすすめ記事です。

 

ELSE 2022年に、チャイナタウンにオープンした新しいホテルで、独立系ブティックホテル。

 

KL で宿泊先を選ぶとき、チャイナタウンはまず選ばないエリア。最後に KL のチャイナタウンに行ったのが、もういつのことか思い出せないぐらい前で、はっきりしたイメージも浮かんでこないぐらい記憶に残っていなかったのだけれど、ぼやっとした記憶でも、ごちゃごちゃしている小汚いところ、といった印象は残っていました。

 

だから、このホテルがチャイナタウンと知って、大丈夫かなぁ? 違うエリアにしたほうがいいかなぁ? と思ったりしたものの、長いこと行っていないから、チャイナタウンも変わっているかもしれないと期待を込めたのもありました。

 

それよりも、そんなちょっとした不安をかき消してくれたのが、その少し前に、たまたま読んだホテルの紹介記事でした。シンガポールのエンタメ情報の中で紹介されていたもので、とても魅かれたのです。その記事はこちら。英語記事ですが、泊まってみたいなと思わせる内容なのでご興味ある方は読んでみて下さい。

 

この記事の印象が強く残っていて。KL なら行く機会をつくって、近々行けそうだと思い agoda のお気に入りにブックマークして入れておきました。まさか、こんなにすぐに本当に行けることになるとは思ってもみなかったのだけれど。

 

イポーからの電車は KL セントラル駅に到着。KL セントラルからはグラブでホテルに向かいました。ホテルに着いて、エントランスのドアを開けた瞬間、あぁやっぱりここにして良かったと直感的に感じました。エントランスに入ってたった数秒の第一印象で、お客さんにインパクトある印象を与えられる場所って、魅力的なところだと思います。

 

Lee Rubber Building 歴史

 

ELSE は KL に残る Lee Rubber Building という歴史的建物を改築してつくられたホテル。建物は1930年 Lee Rubber Company (リー・ゴム株式会社) の本社ビルとして完成。1942~1945年の第二次世界大戦中は日本軍の秘密警察本部としても使われていました。2000年代は本屋 (シンガポールにもあるポピュラー書店) や文具店、オフィスなどが入っていましたが、2015年 リー・ラバー社が建物を売りに出し、入っていた全てのテナントは退去。翌年 2016年 シンガポールを拠点とする GF LAND 社が建物を買い取り、同じ会社がこのヘリテイジビルをブティックホテルとして修復、改築。2019年着工、2022年完成。

 

Lee Rubber Building 建築

 

グレーの外観にアールデコ様式の建築。かつて KL で一番高いビルだった、そして戦時中に日本軍に使われていた… そしてこのホテル外観を見て、何かピンと来た方がいらっしゃるかもしれません。

 

 

そう、シンガポールのドビーゴートにあるキャセイビル。キャセイビルも同じ時代に建てられ、かつてシンガポールで一番高いビル、そして戦時中に日本軍に使われていました。KL と シンガポールの歴史的姉妹ビルと呼べるかもしれない、この発見は個人的にはとても興味深く思いました。

 

正面の 45度に設計された壁に英語と中国語で Lee Rubber Building の文字があるのも個性的。

 

元々あった建物内部のオープニングを中心として客室を設計した、開放感のある吹き抜けが素敵なデザイン。

 

クアラルンプールの条例により、歴史的保存建築物として指定されており、建物の取り壊し、大幅な改築は禁止されているとのことで、レトロな雰囲気を残しつつ、モダンとローカルを融合させた独特の空感が特徴です。

 

お部屋

 

客室は全部で 49の小さなブティックホテル。お部屋のタイプはいくつかありますが、私たち家族が泊まったお部屋は、ホテルの正面入り口がある通り Jalan Tun H. S. Lee に面していました。

 

このお部屋がほんとうに素敵で。壁面は大きいのに窓が中央に 1つだけ。昔からこのデザインだったのか、内側にフィーチャーウォールをデザインして、窓が 1つになるようにしたのか、外から見ても分からなかったのですが。この窓から見える Jalan Tun H. S. Lee 通りの景色が良かったです。

 

すぐ向かいが関帝廟、その背後には今年オープンしたばかりの Merdeka 118。その名の通り 118階で、ドバイのブルジュ・ハリファに次いで世界第 2位の高いビルになったようですが、先端部分入れてだから、ちょっとズルいっていうか、無理しちゃった感じですよね🤭🤭

 

1枚板のようなテーブルも素敵でした。

 

リビングルーム、エクストラベッドを入れてもらったのでソファはベッドに。

 

ダイソンのヘアドライヤーに、ドイツ製ハーマンカードンのハイエンドスピーカーも素晴らしく、ブルートゥースでスマフォから音楽を流して心地よい重低音が部屋中に響き、夫が楽しんでいました。

 

バスタブがなくて、シャワーだけでしたが我が家はそれで充分。旅先でバスタブにつかりたい方は、ちょっと物足りないかもしれませんが、それを差し引いても、他の面で気に入ると思います。

 

サービス

 

高級ブティックホテルのコンセプトなので、丁寧ですが、すごく上品でパーフェクト!って感じではなかったところが、私は返って好感を持ちました。ハイエンドホテルだと特に日本の場合は “お客様すべて” のような堅苦しさを感じてしまうのが苦手で。(もちろん日本のサービスや丁寧さは、他の国々にはない素晴らしさがあるのも知っています。) でもマレーシアらしくて、ちょっ抜けてるぐらいの、ゆるい南国の空気の方が気楽で、親しみを感じて私は好きでした。特に何かが悪かったこともなく、充分素晴らしいサービスでしたよ。

 

チェックインした後、スマフォに WhatsApp でフォローアップがあり、何かあればメッセージでもどうぞというサービスも良かったです。

 

*

 

チャイナタウンの喧騒から扉一枚隔てただけで、そこに広がる別の空間。歴史を感じるこのドアを押して、中に一歩入ると心が解き放たれるようなスペースがそこにあります。

 

 

チャイナタウンの細い道の交差点に立つ姿が渋くて、カッコよくて、素敵で。青空の出ているときに何枚も写真を撮りました。

 

ELSE
https://www.elseretreats.com/

 

歴史や建築について参考にした記事はこちら
DESIGN AND ARCHITECTURE による記事 (文中の中に記載したものと同じ)
Wikipedia による Lee Rubber Building に関する記載

 

 

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