今年 3年ぶりにナショナルデーパレードの任務に就きました。昨年の NDP は規模大幅縮小、国民は家から楽しむ形式で任務なし。その前年 2019年 私はガイド資格の勉強中で土曜日は毎週講座があり、任務に入ることができませんでした。最後に NDP 任務に接したのは 2018年だったので、それ以来でした。
NDP はシンガポール軍が中心となって運営するシンガポール最大の国家祝賀行事。私が所属するシンガポール軍ボランティア部隊でも毎年恒例行事で、ボランティア隊員は主に警備関連の任務につきます。その任務に関わったことのある人でないと知られないような、表には出ない舞台裏任務です。
8月9日祝賀行事、8月14日リハーサル、そして昨日 8月21日の延期開催 NDP、と 3回の任務を終え達成感を感じています。表舞台ではないからこそ見えたこと、例年とは違うコロナ禍における視点から見えたこと、どんな情報にもない現場でしか分かり得ない経験を通して、またシンガポールの底力を肌で感じ、私にとっても前進し続けるエネルギーとなる貴重な経験となりました。
私達の NDP での任務は例年、警備関連。ナショナルデーが安全に開催されるサポートをします。会場と会場周辺での警備業務、人混み整理、ウォッチ役、フェンスなどバリケード設置、片づけ、観客へのファンパック配布など。NDP はリハーサルも含め独特なエネルギーがあり、人々が持つお祝いの気持ちがそこに集中すると、そのエネルギーで押し倒されそうになるぐらいの高揚感があり、ポジティブな空気は心温まるもので、人を笑顔にする力がある NDP 特有の空気があります。
例年はそんな空気に包まれるのですが、今年やる事は同じ警備でも、任務は違いました。今年はコロナで人混みをつくらないように、マリーナベイ一帯は立入禁止。人が入らないように、混雑ができないように、一般市民を追いやる役目でした。昨日の NDP 本番、例年に比べると人出は少なかったものの、それなりに人が出ていました。赤白ファッションの方も多く、お祝いムードの中、パレードや花火を見ようと会場周辺にやってくる人たち。すでに持ち帰りで買った食べ物を手にして、どこかに座って花火を見ようと考えている人に、花火はどこで見れますか？ と聞かれたり、マーライオンにはどうやったら行けますか？ と聞かれても、立入禁止なので花火を見れる場所はありません、マーライオンの場所も立入禁止になっているので、あっちへ移動しても入れません、ここも通れません、進入禁止です。
課せられた任務とは言え、わくわくしている人たちの気持ちに水を差すのはとても複雑な気持ちでした。
ただ逆に返せば、それだけ複雑な気持ちになって、立入禁止です、入れませんの言葉を、繰り返し繰り返し伝えた分だけ、コロナ禍でも変わらないお祝いの空気を感じたこと、シンガポールと NDP がどんなに愛され慕われているかを確認する作業にもなりました。一緒に任務に当たっていた男性隊員も、みんな、こんなに楽しみにしているのに、これを制止するのは心苦しいな…と一言。みんな同じような気持ちで任務に当たっていたと思います。
一般市民の方々と接触する事でも力をもらいましたが、何よりも厚く熱い力を感じたのは、一緒に任務に当たった大勢の隊員仲間たち、兵役男性の方々、軍の方々。警察、その他、後ろから NDP を支える多くの人たち。所属や立場、役割は皆それぞれ違っても、与えられるミッションは NDP を安全に開催させること。そのために与えられた任務に粛々と当たるだけ。その計画、準備、実行すべてのプロセスがスムーズに行われ、抜かりなく行われていました。
私達のボランティア部隊は後方支援部隊で、1人1人の役割は小さなものだったりします。でもどんなに小さなことにも意味があり、全員がそれを着実にこなすことで、その集合知は想像を超えるような力を生み出します。そんな機会を与えてもらったことに有難い気持ちでいっぱいです。
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ナショナルデーの素晴らしい光景もたくさん見ることができました。
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昨日の熱を冷ますかのように、今日はしっとりと優しい雨が降る日曜日の午後。NDP が終わると毎年さみしい気持ちになります。ちょうど日本の夏休みが終わりに近づくのと同じように…。もう少しだけ、ナショナルデーの余韻を感じる 8月を楽しみつつ。
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