8月9日ナショナルデーは過ぎましたが、今年はナショナルデーパレードが延期となり、実質パレードが 2回あるようなもの (*)
* 正確には 8月9日はセレモニーのみ。21日はセレモニー+ショウで例年のナショナルデーパレードになります。
毎年 8月はナショナルデー月間ですが、今年は例年と違った形で、昨年のコロナ禍とも違う形で、穏やかながら賑わう 8月。もうしばらくナショナルデーについて触れていきたいと思います。
8月9日、私は軍ボランティアで出ていたため、マリーナベイの会場近くにいて音は生で聞こえていましたが、セレモニー自体を見ることはできないので、翌日に Yotube で見ました。
終わった後からじっくりセレモニーを見て思ったのは、シンプルで良かった。とにかく良かった。余計なものは削ぎ落され、軍隊行進、国歌斉唱、国民の誓い斉唱、国旗飛行儀礼と戦闘機飛行儀礼のみ。セレモニーは 30分程で終わるシンプルなものでしたが祝賀儀式として充分だと感じました。
軍隊行進、足並みを揃え颯爽と行進する雄姿は見応えがありますが、画一的で同じ動きが長く続いたりすると少し退屈に感じる部分もあると思います。セレモニーの意味が分かると面白みも増すと思いますので、軍隊の儀式について記します。
軍隊行進は国家的儀式に行われます。祝賀の他、国家的葬儀にも行われます。また、国の王様、大統領、首相の他、要人などを迎える時、護衛の意味で行進が行われ、護衛のための行進をする兵士を Guard of Honour 儀仗兵といいます。国によって Guard of Honour を専門に行う部隊があったりしますが、シンガポールの場合、特定の儀仗部隊はなく、その時々によって任命されます。
国家の安全を守る強さと威厳を示すもので、Guard of Honour として行進できるのは名誉あること。シンガポールでは、陸海空軍の各部隊に加え、警察部隊、消防部隊の他、政府主要組織、国を代表する民間企業 (例えばシンガポール航空、シングテルなど) からも総勢で行進するのが例年のナショナルデーパレードですが、今年は軍、警察、消防のみでした。
写真は軍広報 Pioneer facebook より (写真をクリックでオリジナルポストに飛びます)
セレモニーの中でパレードコマンダー(行進の総指揮官) が手にしている剣を口に近付ける動作が何度もあります。生中継でご覧になった方も多いと思います。これは軍隊の敬礼のひとつ。剣は強さの象徴ですが武器でもあり、味方に対してこの剣はあなたを傷つけるものではないと示すため、口に近付けて敬意をもって挨拶をする意味です。
画像は NDP オフィシャル Youtube からのスクリーンショット
ナショナルデーパレードは首相、大統領が両方揃いますが、最高位は大統領なので、首相、大統領の順で会場入りをエスコートします。
中央の赤い装いがシンガポールのハリマヤコブ大統領
軍広報 Pioneer facebook より (画像をクリックでオリジナルポストに飛びます)
伝統的祝砲。21発が最大数とされ、要人のランクによって打つ数が違います。ナショナルデーは最高位の 21発。シンガポールだけでなく世界各国の軍隊で同様の儀礼があり、元イギリス植民地の国では英軍の儀礼を継承している国がほとんど。
NDPオフィシャルページより (画像をクリックでオリジナルポストに飛びます)
行進も終わりに近づき、退場行進して去っていく時。前を向いて行進する部隊の方たちが特定のポイントでパッと横を見て歩く地点があります。これは銃剣を持っていて、手を使って敬礼ができない代わりに、銃を持ったまま視線を向けることで首相、大統領に敬礼をしています。ご興味ある方は Youtube で見るとその様子がよく分かるのでご覧ください。(終わりに近い後半部分で何度も出てきます)
NDPオフィシャルページより (画像をクリックでオリジナルポストに飛びます)
軍隊の行動にはどれも意味があり、集団の規律を守り、士気を高めるため、あらゆる事に事細かな決まりがあります。何かとお堅い印象が強い軍隊ですが、ナショナルデーの行進をするために、4月頃からいくつもの週末を使って練習に長時間を費やしています。日頃の厳しい訓練による集大成を披露する舞台がナショナルデーパレードでもあり、彼らの頑張った結晶が見ている方に少しでも届きますように。
コロナの影響で 8月21日パレードの内容は直前の発表になると思いますが、21日も再び軍隊によるセレモニーがあります。改めてまた注目してみて下さいね。
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