HDB 購入にまつわるさまざまな「へぇ!」

HDB の壁アートや個性的な建物をいくつか記事にまとめたので、HDB 購入にまつわる「へぇ!」なことをいくつか。

 

HDB は政府が国民に対して良い住宅環境を提供し、国民の生活を安定、向上させることがいちばんの目的。生活の基本となる安定した住居があることは、国の経済成長にもつながるため、HDBを持ち家として推奨する政策を始めたのが、シンガポール建国の父リークアンユー氏です。

 

そのため HDBを不動産として持つことによって投資として金銭的利益を得る手段とならないよう様々な決まりを設けています。小さな国で国土が限られていることもあり、政府が管理して土地を効率よく活用できるシステムがつくられています。

 

HDB を購入するのはシンガポール人か PR世帯に限られますが、HDBを買う立場になってみてご覧ください!

 

HDBの所有権は99年

 

一部例外もありますが、新築 HDBを購入できるのは一生に一度だけ。長期間に渡って住むのを目的としていること、99年にすることで管理する政府側としては様々なメリットがあり国土が限られているゆえの工夫でもあります。

 

全ての HDBは政府からの99年リースですが、最高 99年までは購入者の不動産になります。新築で買った場合は 99年。中古で築50年の物件を買った場合は、残りの年数 49年が購入者の所有になります。

 

99年と言うと、仮に30歳で結婚して夫婦で新築 HDBを購入、90歳まで60年間住むと残りが39年。不動産として購入しても、資産として子供、孫、と次世代に引き継げない不満の声も一部の国民にあります。ただ 99年も経つと老朽化し 99年満期になる前に取り壊しとなる建物がほとんど。時代も移り変わってデザインも古くなりますし、次世代になった時にいくら小さなシンガポールとは言え、同じ場所に住みたいかどうか世代が変わればニーズも変わっていると思います。

 

99年でリセットされるのは、管理する政府側にとって有利であるだけでなく、購入者にも新たな選択の幅があっていいと思うのですが、考え方は人それぞれだと思います。

 

余談ですが、HDB の他にシンガポールでは車にも所有権の期限があり、1つのナンバープレートの権利は 10年、多くは10年以内に買い換えます。10年を越えて引き続き乗りたい場合は、ナンバープレートの更新手続きをすることができます。と言っても更新するのも高額。10年以内に中古で売却する場合、残りの権利金額は年数に応じて払い戻しされます。

 

また HDBと同じで、中古車を買う場合、最初のオーナーが 5年乗って中古で売却すれば、次のオーナーが中古で乗れる期間は 5年になります。これも国土が限られている為、車の総数を管理しているゆえに存在するシステムです。

 

収入によって買える HDB の部屋数が決まっている

 

HDB は 1room、2room、3、4、5… エグゼクティブなど様々な種類がありますが、収入の多い人(家庭) で、HDB 購入金額を抑えたいから 2room を買うといったことはできないシステムになっていて、部屋数に応じて所得上限額の設定があります。

 

2 room – 収入 $7000以下
3 room – 収入 $7000~$14.000以下 *プロジェクトによる
4 room以上 – 収入 $14,000以下

 

世帯収入の合計値なので $7000であれば、仮にご主人の収入 $3500 + 奥さん $3500 の収入で合計 $7000 を超えると、3room 以上しか買えないことになります。設定値は月額収入で、購入する際に給与明細を提示する必要があり、月ごとの平均値を算出されます。(この所得設定は新築のみに適用、中古には適用なし)

 

コンドは 2 room だと 2 bed room という意味で、リビングダイニング以外に寝室、子供部屋の数を表しますが、HDB の場合 2 room と言うと、1DK のことで、1つはリビングとダイニング、寝室が 1つの意味になります。2、3、4 も同様。平均的な3、4人家族だと 4 room (3 bed room) 以上を購入するのが一般的となります。

 

HDB は誰が買えるのか?

 

新築 HDBを買えるのは、最低1人はシンガポール人である必要があり、シンガポール人のご主人/奥様と外国人配偶者は新築を買うことができます。夫婦ともに PR の場合は新築を買うことはできず、中古 HDB のみ買うことができます。

 

結婚すると新居として HDBを購入するのが一般的で、以前は結婚しないと買えない制度でした。しかし近年の多様なあり方に応じて、現在は 35歳以上で独身、離婚された方、未亡人の方など単身で HDB を購入できる制度が整備されています。

 

最低5年間は実際に住む決まり

 

HDB の所有は 1人1物件のみ。1つ買って賃貸に出して家賃収入を得て、自分は別の安い HDB 物件に住むといったことができないようにしています。新築も中古も購入したら最初の 5年は住まないといけない決まりがあり中古物件として売り出せるのは 6年目から。こういった規則を設けて、投資対象や営利目的になることを防いでいます。

 

我が家の事情

 

これは我が家の私的事情なのですが、実例が分かりやすいと思うのでご紹介。我が家は結婚した翌年に新築のコンドを購入。今はコンド、HDB 共に潤沢に供給されていて需要のほうが少ないですが、2000年初め頃 (2010年以前) は HDB 供給が需要に対して追いついていなく、買いたくても買えない、結婚して家庭を持ったのに思うような住宅が買えないといった状況が数年間あり、当時は社会問題になりました。

 

夫と私は結婚してすぐ 新築 HDB に何度か応募しても当たらないのを繰り返しているうちに、リーマンショックに。不動産価格が大幅に下落した時、ローエンドのコンドを購入しました。今そんな価格はどこに行っても見つからず、今から考えるとあり得ない価格で当時コンドが買えたのです。といっても 2008年と12年前のこと。不動産価格が急騰したのはリーマンショック回復後で、この10年ちょっとでシンガポールは急速に変化し、不動産だけでなく物価もずいぶん上がりました。

 

すぐにではないですが、我が家は将来的にコンドから HDBへの住み替えを検討しています。そうなると、コンドから HDB への住み替えでは新築 HDBは購入できず、中古のみの購入が可能。もしもその後さらに新築 HDBに住み替えたければ、最低5年中古物件に住んでからになります。

 

コンドを売却 → 中古 HDBに住み替え (最低5年) → 新築 HDBを買える権利が得られる

 

もしも今後、新築 HDB に住むとなると長い道のり。その間歳もとっていくわけで、この先新築への住み替えまで見据えるのか、それとも中古 HDBを厳選してそこで生涯落ち着くのか難しいところです。

 

民間住宅から HDBへの住み替えは一定数あり、知り合いで戸建て住宅に住んでいたご家族。お子さんたちが大きくなって次々と結婚して出ていきご夫婦だけになりました。ご夫婦だけでは戸建て住宅は大き過ぎるし、維持費も高額ということで HDB に住み替えたり。逆に HDB から EC、コンドにアップグレードするご家族、ご夫婦も多いです。

 

*

 

で、HDB っていくらぐらいするの? ですが。ピンからキリまで 1000万円~8000万円越えまで部屋数、地域、新築/中古によって様々。$600K で 約4800万円、やはり5000万円以上になってくると高いと感じます。

 

ご紹介した購入にまつわるルールはごく一部で、他にも不動産エージェントでさえ把握できないほどの様々なルール、条件があり、頻繁に内容が変わるので、HDB を買うことになったらトアパヨにある HDB Hub に行くのが一番。HDB Hub にはショウルームやギャラリーもありますが、現在はコロナで閉鎖中。再開したらまたご紹介したいと思います。

 

Boon Keng 駅近く、築1年ちょっとの新しい HDB、高層でモダンなデザイン。

 

 

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