多言語環境シンガポール ~ 多言語を通して見える多様な世界

話す言語によって性格が変わる研究結果があるのをご存じでしょうか。Your personality changes when you change language といった英語での研究結果も多数あるのですが、この 話す言語によって性格が変わる 研究は、もともと日本語以外での研究のほうが進んでいて、海外から日本に入ってきたフィールドのようです。

 

海外生活が長い方、海外各国を転勤されている方、国際結婚など家庭内が異文化の方、職場が多国籍環境な方… 話す言語によって性格が変わる、そんなことを感じる方、多いのではないでしょうか。

 

これはまさに私自身が日常的に感じていて、どんな言葉、言語を話しているかによって、自分の違う面が多様に表れることに気が付きます。

 

【日本語の特徴】

 

日本語は何と言っても控えめで丁寧な言葉。直接的な表現を控え、はっきりと言わないことが良しとされたり、遠回りな表現をしたり。言語は振る舞い、行動、文化と密接に関わっているため、日本人らしくお辞儀をするような振る舞いは、日本語を話している時とセットであって、仮に英語を話しながらお辞儀をすることもあるかもしれないけれど、しっくりきません。

 

シンガポールのダイソーや多くの日本食店などで、現地スタッフの方達が「いらっしゃいまぁせぇ~」とよく言っていますが、元気があって、頑張って日本語で言ってくれているのは好感で否定するわけではないのですが、Welcome to Daiso でいいのになぁといつも思ってしまうのです。

 

また日本語は表現方法が豊かでとても奥深い言語。文字もひらがな、カタカナ、漢字の 3種類がありこれを使いこなすというのは、ものすごい技。26文字しかないアルファベットと比べ表現方法が異なるのは当然かと。例えば I, You は使い方、シーンによってどういう意味にもなり得ますが、日本語の場合は 私、僕、俺、己、自分、小生など様々な表現があって、どんな背景かによって使い分けることができます。

 

表現が豊かで深いため、日本人は思考が深い人種だと思います。その分、日本語の領域から出るのが難しく、良くも悪くも「日本的」な思考に偏る傾向が高く、とかく形式にこだわったりします。

 

【シンガポールの多言語環境】 

 

公用語は英語、中国語、マレー語、タミル語の 4言語。華人の方は福建語、潮州語、広東語など各民族の言語を話す人は少なくなってきているものの、まだ根強く残っています。2、3言語話すのはごく普通のことです。

 

シンガポールの多言語環境の弱点はスピーキングはできるけれど、読み書きが弱いこと。どれも広く浅くなりどの言語も中途半端になりがち。悪い面に出ると、薄っぺらく、お気楽になりがちになること。逆に良い面は、頭の中が常に多言語状況なので切り替えが素早く、言葉の切り替えが早いことは、柔軟で思考の切り替えが早いことにつながっているのを感じることがよくあります。シンガポールにスピード感があるのは、(他の要素もありますが) 1つは言語の影響が強くあると考えています。

 

シンガポール人の夫に聞いてみました。夫が使うのは英語、中国語、潮州語、福建語。

私: いつも何語で考えている?
夫: Hmmmm… It depends.  う~ん、その時による。
私: 仕事の事は英語が多いと思うけど、考える時は潮州語で考えて、アウトプットは英語だったりする?
夫: いや、そうでもないよ、英語で考えてることが多いけど、中国語の時もある。
私: 数を数える時は何語で考える?
夫: それもその時による!

 

うぅ~ん、理解できるような、できないような。私が勝手に予測した答えとぜんぜん違ったのです。いちばん使いやすい言語があって、それをもとに違う言語で展開されているのではないかと思ったのですが、どうやらそうではないよう。軸になる言語もシーンによって違い、インプットもアウトプットも相互に自由自在といった感じでしょうか。シンガポール人でも人によって違うと思いますが、多くのシンガポール人はこのように言語をちょちょいのちょい!と自在に切り替える能力を持っている人が多いです。

 

シンガポールのテレビは字幕がつくことが多いので、テレビを見ている時にも、夫に聞いているか、字幕を見るかと聞いたことがありますが、聞いている言葉が英語、中国語に関わらず、字幕も見るけれど読むのは補助的で聞くのがメインなようです。要は聞く言語はどっちでもいい、どちらでも (どれでも) 対応できるということです。

 

【私のシンガポール生活では】

 

我が家の日常は家で家族でいる時は英語。娘と私の会話も英語です。日本人のお友達と一緒にいる時は日本語。そして、自分ひとりでいる時はどうだろう? と考えてみると日本語だけでなく、かなり日本語と英語が混在しています。こうしてブログを書いている時、日本語で考えているものの、同時進行で他に考えている英語領域があったり。はっきりとした境目があるわけではないのですが、日本語だけのゾーン、シンガポールの多言語ゾーンを常に行き来しているような感覚があって、どこにいるか、誰と接しているかによって、あ、違う自分がいる! という現象を頻繁に感じます。

 

現地の人と話す時は、日本語のような丁寧さはなくなりますね。相手が日本人だったらこんな直接的な表現はしないだろう、といったことをズバっと言ったり。こういう聞き方は日本人にはしないだろうといったことを遠慮なく聞いたり。

 

*

 

人間は置かれた環境によって変化し、特定の場所にいる時間が長いほどその場所からの影響を大きく受けます。私自身、前からそうだったのではなく長い年月を経てシンガポールの独特な言語環境の影響を強く受けるようになりました。

 

単に言語だけでなく、さまざまな要素がからみあってのことですが、多様な言語を通して見る世界はより多様で思考の幅も広がり、世界を拡げ、新たな自分に出逢うことでもあると思います。

 

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