ナショナルデー時期、シンガポール国旗はおなじみですが、シンガポールの国章はどんなデザインか聞かれたらすぐに浮かんでくるでしょうか?
見ればあぁ~! と思うのですが、どんなデザインと聞かれると、なかなかすぐには答えられないと思います。
シンガポール国章
国章のことを正式には National Coat of Arms カジュアルには National Crest, Singapore Crest ナショナルクレス/シンガポールクレスと呼ぶのが一般的です。パッと見ると、色がついていない国章を目にすることのほうが多いので、左右ともに同じ動物のように見えますが、向かって左はライオン、右はトラ。ライオンがシンガポールを表わし、トラはマレーシアを表し、両国の結びつきを意味しています。シンガポールの名前の由来がライオンシティであることも国章にライオンが使われた理由のひとつになっています。
また左側のトラはシンガポールを表していますが、1959年12月に国章が制定され、当時の植民地時代の影響が色濃く反映され、イギリス国章にトラが使われていることからイギリスとの結びつきも表されています。
イギリスの国章 (画像参照元)
イギリスの国章はライオンが王冠をかぶっていますがこれは王政の歴史があるからで、シンガポールにはないからです。
マレーシアの国章(画像参照元)
マレーシアは左右共にトラ、トラはマレータイガーに代表されるようにライオンよりも地域色が濃く、この地域を象徴する動物であることからマレーシアではトラが使われています。
シンガポール国章いちばん下の文字 “ Majulah Singapura ” はマレー語で進めシンガポールの意味。国のモットーであり、国歌も “ Majulah Singapura ” です。
国章は国旗とは違う形で国を表す象徴であり、国旗よりもデザインが複雑。その国の歴史、文化を象徴する動物や盾、槍、剣などが描かれているものが多く、力強さを表しています。トラとライオンは動物界の王様、盾は国を守る意味。小国で、資源もないシンガポールがこれからどうなっていくのかなど誰にも分からない混沌とした時代に、それでも力強く進んでいくのだという意志を込めて作られたことが分かります。
ところで、私たちは毎日シンガポールの国章を持ち歩いています。何だと思いますか…..?
すぐに分かった方はさすが。シンガポールのお札、硬貨は全て国章が入っています。あまりにも身近過ぎて、お札やコインのデザインは普段ほとんど気に留めていないと思いますが、手に取って見てみてください。他に IC カードの右上にも描かれています。
国章を広告、その他商業目的で使用することが法律で禁止されています。ナショナルデーのお祝いでも各家庭で国旗は掲げますが、国章は政府機関のみで使うことが許可されており、個人や企業が勝手に使うことはできません。国旗、国章、国歌には敬意を表し威厳を持って扱います。今の若い世代や子供たちはずいぶん緩くなっていますが、40代以上ぐらいの世代だと国旗や国歌に対してどのように敬意を表すか学校教育で教えられています。まだ私が無知な頃、国旗を雑に扱ったわけではないのですが、夫に国旗に対してどのように敬意を表すか扱い方を教えてもらったことがあり長い年月が経った今でもとても印象的な出来事です。
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イラスト提供 Instagram @singapolah