チェンナイ空港に着いた後、最初の目的地はポンディシェリ。
ポンディシェリはチェンナイから 約150km南の、ベンガル湾に面した海辺の街。海辺で熱帯、年間を通して気温が高く、蒸し暑い気候がシンガポールに似ていて、滞在中、シンガポールの古き良き時代やイギリス植民地時代はこんな雰囲気だったのでは? と思わせるような西洋と東洋の融合を感じる街でした。
元フランス領の歴史があり、他のインドの都市とは違うどこか垢抜けた独特の空気感。フランスと南インドの融合が、他にはない個性的な文化を生み出す不思議な魅力を感じる街。人口 90万人ほどと大き過ぎず、小さ過ぎない街のサイズ感もよかったです。
ポンディシェリはたった 2泊の滞在でしたが、着いてすぐに、この街のオープンな空気感に魅了されました。さらにこの街が好きだぁと感じることになった出来事が、スクーターをレンタルして、何も決めず思うままに走り回って、街の見どころをたくさん回ったことでした。
前日、チェンナイ空港からホテルに着いて、ホテル周辺を歩いてみたところ、あちこちでスクーターレンタルのお店を見つけました。何軒かで値段を聞いて相場を掴み、ホテルに帰ってホテルの方に値段がそんなものなのか聞いてみたところ、私が泊まったホテルでもスクーターレンタルをしていました。(どこにも書いていないから分からなかったのだけど。) 泊まったホテルは高めのレンタルだったので、外でレンタルすることに。
スクーターは現地では Two Wheeler と呼ばれているようで、 Two Wheeler Rent の看板が街中のあちこちにありました。
家庭や個人で自家用車を持つのは、まだ経済的に難しいのでしょうね。庶民の足は二輪、自転車、バス、オートリキシャが主流に見えました。おそらく現地の方もスクーターや二輪を、自分で保有している方もいるだろうし、借りている方も多いのかなと思いました。
Vespa の相場はどこで聞いても 1日 500ルピー。Vespa じゃなくていいからもう少し安いのある? と聞くと 350ルピー、300ルピーぐらいのものがあり、私は 1日 300ルピー (SG$5 ぐらい) のスクーターを借りました。
最後にスクーターに乗ったのがもういつか思い出せないぐらい前で、あまりに久しぶりでちょっと心配だったけれど、20代の頃は実家でスクーターに乗っていました。そして若い頃、世界をあちこち旅したときに、いろいろな所でスクーターを借りたことがあり、そんな経験がこんなところで役に立つとはね。
お店のおじちゃんに、最初にガソリン入れてから行くんだよー、と言われ、まずは給油から。
ガソリンの値段は書いてあったから分かったのだけど、レシートくれるわけでもないから何リットル入ったのかいまひとつ分からないまま。給油してもスクーターのガソリンメーターが壊れていて、メーター上がらず Eマークの下の方で止まったまま。どんだけ入っているのか分からないけど、もしも途中でガス欠で停まっちゃったら、親切な地元の人がいちばん近いガソリンスタンドまで押すの手伝ってくれるかもしれない、なーんてそんな楽観できるほど、着いた翌日にポンディシェリの街の穏やかさ、オープンさを感じていました。
給油を終えて、さぁ出発。スロットルの回し具合に慣れるまで、ちょっと時間かかりますね。土地勘なく、道が分からないものの、前日に中心地をざーっと歩いたのと、チェンナイからウーバーで移動してきたとき車から見た景色で、位置感覚を頭に入れて。あとはスマフォさえ使えれば Google map で確認しながらいけば大丈夫。
スクーターで巡った見どころを一気にシェア。
Arulmigu Manakula Vinayagar Devasthanam ポンディシェリの海辺近くにあるガネーシャ寺院。参拝されている方も多く、賑わっていて、素敵なお寺でした。シンガポールからここまで無事来れたお礼を伝えて、その日これからスクーターで 1日動き回る安全をお願いして、家で待ってくれている家族の安全もお願いしました。
お寺のそばでお供えのお花を売る方
ポンディシェリのビーチ、この辺りは Rock Beach どこかシンガポールのイーストコーストパークを思わせるような海沿いでした。
ガンジー像
フランス戦争記念碑
The Sacred Heart Basilica 荘厳さと豪華さが心にジーンとくる教会でした。フランス領の名残で、ポンディシェリはカトリック教会が多かったのも印象的。
OUR LADY OF IMMACULATE CONCEPTION CATHEDRAL
カトリックスクールの生徒さんもたくさん見かけました。
ムルガン寺院 Shri Kaushika Balasubramanya Swamy Murugan Temple
Farmer’s Market この路上マーケットはワイルド感あって、楽しかった。
街の見どころを巡った後は、ポンディシェリ中心地から 10kmほど離れた Villianurの町へ。シンガポールで言うとオーチャードからジュロン辺りまで行く感覚だけど、この 10km ほどが冒険で、けっこうハードな道のりでした。
とにかく暑っつい、スクーターで動いていても焼けるような暑さ。地元の皆さんはヘルメットなしで運転している人ばかりでしたが、スクーターを借りた時にヘルメットを手渡されたので、半キャップですけどね。何かあってスクーターで転んだときのことを考え、無防備で完全に頭露出よりも半キャップでもヘルメットあったら違ったのに、なんてことがあるかもしれないと思いかぶって走りました。
だから顔はよかったのだけれど、スクーターで腕を前に出しているから腕が暑い。インド綿で七分袖のクルティを着ていたのですが、手首からひじ下の 3分の2 肌が露出していたところだけがかなり日焼けして、帰るころになって、その部分だけに温熱じんましんが出てびっくり。すぐに引いた後は、腕の皮がむけました。それぐらい暑かったってことです。
道は思ったほど悪くないけど、当然シンガポールや日本のようなコンディションではなく。バイクや車があちこちから飛び出してきて、逆走もあり。右に注意してたら急に左から追い抜かれたり、いつ何が飛び出してきてもおかしくないから、いつでも停まれるように、皆さんそんなにスピードは出していないぶん、危なさはさほど感じませんでした。
もうひとつ。クラクションの音がけたたましいのだけど、車とリキシャのクラクションは私にとっては生活音の BGM のようなものでした。ただ、バスのクラクションが一段と大きい汽笛みたいな音がするやつで。後ろからバスにポワーン! パラリラ、パラリラみたいな大音量で鳴らされると、ひゃーっ、びっくりしたなぁ、もう。ってことが何度もありましたが、それも楽しい道中でした。
Villianurの町で訪れたのが、この町の見どころシヴァ寺院。
お寺の敷地内には入れましたが、日中だったので本堂は閉まっていて、外観を見ただけですが (ヒンドゥー寺院はお昼から夜まで閉まります。シンガポールでも同じく。) それでも見応えあるお寺でした。敷地内が広くて、靴を脱いで裸足で地面を歩くと (ご存じない方のために書き添えておくと、わざわざ靴を脱いでいるのではなく、ヒンドゥー寺院では靴を脱いで中に入ります。) 直射日光下では鉄板の上を歩いているような暑さで、足の裏を全部地面につけて普通に歩いていられないぐらいでした。つま先立ちで歩いて、アチチチチと言いながら日影になっているところへ急いで移動しないと大変だったのが、つい先日の出来事なのに、もう良い想い出となりつつあります。
Villianur の町のもうひとつのお寺マリアマン寺院
お寺のすぐ横でお供えのお花を売っていたお店
小さな町 Villianur は見て回ったらすぐに見終わってしまうぐらい町の中心地は小さいけれど、田舎過ぎない田舎町感が心地よく。いちばん暑い 午後 3時頃だったこともあり、商店をのぞくと奥でお店の方が昼寝しているのが見えたりして、ほっこりしました。時間があれば、何をするでもなく、だらだら過ごしてこの町で 1泊できたら最高~と思いながら町を後にしました。
いや~ しかし暑いなぁと思いながら、再びゆっくりスクーターで 10kmほど、ポンディシェリの街へと、来た道を戻りました。
スクーターレンタルは 1日で 300ルピー。18時までに返却してと言われました。いくつか聞いたお店によっては 19時とか返却時間に幅がありました。運転にもすっかり慣れて、小回りきいて動きやすいし、まだまだ乗っていたいな~と思いましたが、ここで調子に乗り過ぎる前に早めに返そうと思って夕方 16時過ぎには返却。
スクーターレンタルできるなんて現地に行くまで知らなかったし、どこに行きたいか Google map で出発前にある程度見ていたものの、どこにどうやって行くかはなにも決めていなくて。観光名所をめぐりつつ、走っていて見えて、わぁ、ここ面白そうだなぁ! と思ったらスクーターを停めて、降りて見る。こんな所があるんだ! と知らなかったところもたくさん見れて、充実の 1日でした。
私は下調べを細かくしないから、現地に着いてから、出発前の時間がある時にもっとしっかり見ておけばよかった、おすすめのレストランとか、もっとチェックしておけばよかった… なんてことがしょっちゅうあるのだけれど、調べて準備するのはもちろん大事。でも目の前に現れたことに、これがいい! とその場で感じる直感、想い、その場で決める判断に任せて、心が思うままに何も決めずに旅するってこんなにも贅沢で楽しいのかということを、すごく久しぶりに体感しました。
普段の生活だと、何かといろいろなことに追われ、何事も先、先、先を読んで計画したり、時間通りに物事を進めたりすることが多いですよね。6日間の限られた旅の中で、こんなに自由な旅ができるとも考えていなかったので、翼を与えられて自由に飛ぶ鳥になったような開放感が最高でした。