ハリラヤプアサ・断食明けの大祭に ~ 断食明けを告げる新月との深い関り

Selamat Hari Raya Aidilfitri

 

世界中のイスラム教徒の方が 1ヶ月に渡る断食月を終えたことをお祝いするラマダン明けの大祭。シンガポールは 5月3日がその祝日でしたが、今年の断食明けは隣国マレーシア、インドネシア、ブルネイでは前日 5月2日と、1日違いとなりました。世界的にも 5月2日になった国、5月3日になった国の 2通りとなったようです。

 

断食は新月から次の新月にかけて行われ、断食の開始と終了のサインは「新月が見えること」。これはイスラム教の預言者ムハンマドにより新月を見るまでは断食を始めてはならない、新月を見るまでは断食を終わらせてはならない、という教えにもとづいています。

 

シンガポール、マレーシア、インドネシア、ブルネイの隣国 4ヶ国によるイスラム教宗教組織により、天文学など科学的データに基づいた新月を確認するための公式見解があるものの、物理的に新月を目視できたかどうかは各国による判断となり、シンガポールでは新月が確認できなかったために、隣国より 1日遅れとなりました。

 

本当の組織名ではありませんが、分かりやすく言うと “新月判定委員会” のような組織があり、望遠鏡、双眼鏡などを使って新月が出る時間帯に新月を目視して、イスラム教公式機関の宗教指導者が、断食開始、断食終了を公式発表します。

 

世界各国で新月を確認する様子、写真は世界のニュース記事よりお借りしました。   

 

今は科学、技術の進歩により、天文学的に計算すれば新月がいつ現れるかは、目で見るよりも計算の方が正確なはずですが、昔々から人々は夜空を見上げ、月を見て日常を過ごし、お月様にしたがって宗教行事を行っていたことの表れです。ご年配のムスリムの方から、シンガポールでも昔は断食が終わるタイミングがラジオで公式発表されるのを待って、断食明けのご馳走を慌てて用意したものだという話をお聞きしました。

 

イスラムの神の教えに従うのか? それとも天文学を信じるのか? イスラム教徒の方々の間ではちょっとした議論を呼んだそうですが、新月が見えるまで断食明けを祝ってはいけないというムハンマドの教えに忠実に沿うことになり、シンガポールのイスラム教公的組織からは、隣国より断食明けが 1日遅れてもそれは嘆くことではなく、喜ばしいことだと発表されました。

     

今は何か知りたければオンラインにアクセスすれば何でも答えはすぐに出てきますし、便利さ、正確さ、速さばかりを求めてしまいがち。ほんの十数年、数十年前のアナログ時代の良さを考えさせられると共に、宗教や人間が自然の神秘と共にあることを感じるニュースでした。

 

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