世界有数の緑あふれる都市を目指すシンガポールのグリーンな挑戦

シンガポールが Garden City と呼ばれるのは聞いたことがあると思います。単なる都市ではなく緑あふれる都市。日本を始め他国からお友達やお客様がシンガポールに来ると、シンガポールは緑がすごく多いんだねという感想は、必ずと言っていいほど出てきます。

 

独立以降、国策として強力に緑化を進め、緑あふれる魅力的な都市づくりをするとしてきた “Garden City” はすでに古いビジョンで、1998年以降は次のステージとして City in a garden というビジョンを掲げています。今はどこへ行っても綺麗で整備された環境があるのが当たり前になっていますが、上下水道、排水設備が整備されていなく、街が臭くゴミだらけだった状態からの始まりでした。

 

シンガポールの緑は人工的でつくられた自然だという人も中にはいます。確かに人の手によって計画的につくられたもので、広大な大地、例えばアメリカとかオーストラリアの大自然に比べたら人工的に見えるのも仕方のないことですが、小さな国には小さな国ならではの工夫と知られざる努力があり、より多くの人が日常生活を通して緑に親しむ環境がこれだけ機能的に整えられているのは素晴らしいことです。

 

独立後の緑化推進政策  -Garden City-

 

国策として緑化を進める Garden City のビジョンは、1967年 リークアンユー氏によって導入されました。天然資源もない、資金もない、とにかく何もないシンガポールにとっては海外からシンガポールに投資をしてもらうことが必要でした。外資企業にとって魅力的な環境を整え、綺麗で美しく緑あふれる環境をつくることは外資誘致を推し進める上でも必要なことでした。

 

ゴミのポイ捨てをしてはいけない法律があることもよく知られていますが、これはこの頃の緑化推進と並行して導入された法律です。国民のマナーや意識が低かったため、当時はゴミであふれているのが普通だったのです。ポイ捨てをしてはいけない、したら罰金があるという制度を導入するとともに、国民のマナー向上、意識改善に取り組む教育が必要でした。上下水道も整備されていなかったため、公衆衛生を改善、向上し、国民により良い生活、環境を提供する目的でもありました。

 

1960年代後半から始まった植樹活動は今も続いており、今年11月の植樹イベントではリー首相が今まで数々の植樹をしましたが、HDB駐車場の屋上にある ルーフトップガーデンに木を植えたのは初めて、と植樹のスペースも近年は道路や公園だけでなく、屋上、ビルの壁面などにも広がっています。

 

次なる緑化への挑戦 Garden City から City in a garden へ

 

NParks 国立公園局が中心となり、国一体となって進めてきた緑化は 1990年後半から次のステージを目指します。1998年 シンガポールが目指すビジョンは Garden City から City in a garden へと変わりました。 Garden City と City in a garden 似ているようで違いますね。単に緑化を進めるだけでなく、国民の日常生活に緑、自然があることを目指し、次世代、次々世代と将来に渡って緑に親しむことができる世界有数の Greenest City を目指しています。

 

2012年にオープンした Gardens by the Bay は City in a garden この国策の一環で、マリーナベイのあの土地に、あれだけ広い無料の公園をつくるには国土が限られたシンガポールにとって大きな決断でした。ニューヨーク、ロンドンなど世界の有名な公園を参考にしてつくられました。オフィス街をつくるという選択だってできたわけですが、あえて国民が緑に親しめる場所を中心地につくり、シンガポールが一層の City in a garden を実現することを願ってつくられました。

 

世界的に課題となっている地球温暖化防止に貢献するための取り組みもあり、現在はよりサスティナブルな方向で、緑化へのチャレンジはまだまだ続きます。壁面緑化、ビルの緑化を進める取り組みもシンガポールならでは。これについてはまた別の機会にご紹介したいと思います。

 

*

 

シンガポールは街歩きも楽しいですが、気軽に緑に触れることができる環境がたくさんあります。これまでにもシンガポールの自然には触れてきたつもりですが、私はコロナのおかげでシンガポールの緑豊かな魅力を改めて再発見しています (現在進行形!)  先日、街を歩いていて横断歩道を渡っていた時、あまりにも青い空が綺麗で、車が走っていて、HDBの住宅街があって、歩道の木々の緑が綺麗で、ただただ普通の日常風景がとても綺麗に見えて。なぜか涙が出てきてしまいました。

 

どの国にも違う特性があって、シンガポールには大きな国で広大な自然に触れるような親しみ方はできませんが、シンガポールはシンガポールらしく、この国でできること、この国でしかできない緑との親しみ方をこれからも広げていったら良いなと感じます。

 

先日訪れた Upper Seletar Reservoir と ウェディングツリー

お天気が良くて、いい風が吹いて、旅行に行ったような日でした。

 

バナーをクリックで応援お願いします!

にほんブログ村 海外生活ブログ シンガポール情報へ
にほんブログ村
イラスト提供 Instagram @singapolah

右上角の赤いメニューから、読者登録ページで Email アドレスを入れて頂くと、ワードプレスのシステムより記事が更新された時に、お知らせが届きます。アメブロの読者登録機能と同じです。どうぞご利用ください。