今回の選挙を通して見えたこと、分かったこと、理解が深まったこと、たくさんの学びがありました。
いちばん大きな気づきは、私自身がシンガポール人を誤解している部分が大きくあることに気が付いたこと。そして私自身が持っている偏見に気がついたことです。
私は与党を支持していました。そうでなければ外国人はシンガポール生活での恩恵は受けられませんから、私だけでなく在星日本人の多くは与党支持派または興味ないか、分からないのどれかでしょう。
でも結果を見て分かった現実、受け容れた現実。それは、国民はとても鋭く正しい眼を持っていることです。
選挙活動期間中、異常なまでに過熱する現政権への批判は何なのだろう? 国民がここまで熱くなる根底には何があるのか? 何を求めているのか? シンガポール人の真の声に興味を持ちました。与党を支持しつつも、その気持ちを時に意識していったん横に置いたりしてみると、自分には見えていない視点や世界があることに気が付き始めていました。野党支持派の国民の声を聴くようにしたり、野党からの発信もできる限りジャッジしないように積極的に見ました。どちらを支持するというよりも、何が起きているのか真実を知りたい、国民がどう考えているのかを知りたい、そんな気持ちがいちばん強かったです。
選挙結果が出た時、一番に感じたのは与党の得票率の低さ。心を搔き乱されるようなとても複雑な想いがありながら、一方で野党の躍進に素直におめでとうと言える自分がいることにも気が付きました。国民の真の声が反映された投票結果であることを冷静に受け入れることができました。
それと共に見えたこと。外国人には分かり得ない国民の想い、苦悩、葛藤、苦労、その根底にある未来や次世代への熱い想いを感じたことです。私が大きく誤解していたこと、それはシンガポール国民が(外国人が考えている以上に)真剣に未来のこと、自分たちの国について考えているということ。選挙活動中に脅威にも感じた批判、攻撃の裏にあるのは、変化とより良いものを求める渇望であること。
シンガポール人の夫が何度も言っていた Singaporeans are not stupid. その真の意味が深く入ってきました。
選挙前まで私には 1つの問いがありました。政権が変わってもシンガポールを好きになれるのかどうか? 今すぐにではなくても将来的に逆転して今の野党が政権を握ることになっても私はシンガポールが好きなのだろうか? そんなことを考えていましたが、その答えは選挙後に出ました。
私の想いは条件付きではなかった。政治、政党は人々の想いを形にしたり実現するツールのひとつでしかない。どんな状態になってもシンガポールが好きだ、その気持ちに変わりないことを確認できたのは大きなことでした。
与党支持から野党支持に変わったのか? と受け取られるかもしれませんがそうではないです。誰にでも独自のフィルターを通して見ている世界がありますが、できる限りフィルターのないシンガポールの真実を知りたい、そして外国人には分かり得ない現地の方々の声、素顔を伝える媒体になりたい、そんな想いが一層強くなりました。
もし5年後 シンガポール国籍をとって選挙権を得ていたら、どちらを支持するか今は分かりません。現政権への期待も失っていないし、野党にも活躍してほしい。そんな欲張りな気持ちでいいんだと思います。そしてシンガポール人はいい意味で欲張りで、どこまでもより良いものを追いかける人たちである新たな面を見た総選挙でした。
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イラスト提供 Instagram @singapolah