シンガポールのコロナウィルス感染報告数
2020年6月2日まで
コミュニティ件数 | 1,689 |
国外からの輸入感染件数 | 580 |
外国人移民労働者件数 | 33,567 |
累計 | 35,836 |
となっており、感染ケースの約94% が外国人移民労働者による感染ケースとなっています。
今回のコロナ禍では、世界各国でそれぞれの国の盲点、弱点となっていた部分が大きく露出し、様々な側面から炙り出された形となりました。シンガポールでも、外国人移民労働者による爆発的な感染拡大は、予想以上の痛み、苦戦となり、現在も引き続き懸命な対応、対策が続いていますが、それと共に大きな学びと教訓になっています。
シンガポール人はもちろんの事、シンガポールに住む私たちのような外国人と彼らのような外国人移民労働者とは同じ場所にいながらにして、仕事で彼らと接する機会がある人でさえ、移民労働者の実態についてはよく知られておらず、そこに意識が向けられる形となったのは良い機会だと思います。
もしもコロナ禍での外国人移民労働者による感染爆発がなかったとしても、近い将来、きっと何かしらの違う形で課題として突き付けられる事になったのだと思います。
政府は年内までに外国人移民労働者向けのドミトリーを6万床増やし、合わせて数年以内に更に10万床を増設し、外国人移民労働者への住環境のアップグレードも含め改善を図ると発表しました。外国人移民労働者の総数は32万人ですからその半数に当たる大規模な改善となります。
画像は同ニュース記事より
直近ではコロナが数年に渡って長期化することを見込んで、同様の爆発的感染の再発を防ぐのが理由でもありますが、今後ドミトリーが今までより一般住宅街の近くに建設される予定となり、国民や近隣の住民からは不満の声が一部上がることも予想されますが、立場や人種によって差別したり、分断されるものではなく、各地区で同じ住民が一体となって共生できる社会を実現していく形になると予想します。期待観測も入っていますが、そうなって欲しいですし、国としてもそこを目指していくことになるでしょう。
シンガポールは多様な人々が住む多民族国家、多民族社会であり、これまでは民族、言葉、宗教の違う人が仲良く暮らす国を実現してきました。それはこれからも変わりありませんが、近年、特に 2010年以降に入ってからは 「多様」の意味が高度に複雑化しており、単に民族の違いではなく inclusion あらゆる違いを持つ人が共に暮らす社会を目指しています。
起きた出来事は、触れたくない問題として捉えるのか、取り組まなければいけない課題として捉えるのかで未来のあり方は全く違ったものになります。シンガポールの長所は、問題 problem として放置するのではなく、そこから学び、教訓として課題に変えて取り組んでいけることです。
今回のコロナ対策では 2003年の SARS の経験、教訓が大いに活かされましたが、それと同時にまた新たな課題を与えられました。災い転じて福となす – 今後も新たな教訓を前進する力にしていってくれることでしょう。
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イラスト提供 Instagram @singapolah