シンガポールについて発信し続けられる原動力となるもの ~ 大きく影響を受けた軍隊での経験

「中澤さんがシンガポールについて発信し続けられる原動力となっているものは何ですか?」

 

昨年末、とある方との会話のなかで聞かれたこと。

 

そう質問されて、すぐに出てきたのは軍隊での経験。私がシンガポールについて発信し続けられる原動力となっているものは軍隊で経験したことが大きく影響しています。

 

2022年になったら新年を機に、その時話した内容をブログにも残しておこうと思い、今思い出しながら書いています。

 

シンガポールについて伝えたいと思うようになったこと、今の活動に至るまでに私の中で大きな影響となった出来事がいくつかあります。

1) シンガポールに来たこと。
2) シンガポール人の夫と結婚したこと。
3) 娘が産まれたこと。

ここまでは割と普通でしょうか。

 

この後、更に決定的に大きな影響を受けたのが 2015年シンガポール軍ボランティア部隊に所属したことでした。

 

軍ボランティア部隊入隊でぶち壊された常識

 

2015年 ボランティア部隊に入隊した時、すでに在星 10年以上が経っていて、私はシンガポールについてある程度知っていると思っていました。ボランティア部隊に入って、最初に行く軍隊基礎訓練の話しは、それまでに夫の兵役経験からいろいろなことを聞いていたので知ってる、知ってる、と思っていました。

 

でもそうではなかった。頭をぶん殴られたぐらい、ものすごい衝撃でした。見たことも聞いたこともない体験の連続で、知っていると思っていたことも、知識として聞いたことから知っているだけで、実体験を伴っていないものだと分かりました。

 

<シンガポール軍ボランティア部隊とは> 

シンガポール人男性、PR 2世の男性に 2年間の兵役義務があるのはご存じの通りですが、シンガポールの人口 約4割を占める外国人居住者、多様な人が生活するシンガポールの中で、兵役義務のないシンガポール人女性や外国人に対しても兵役制度またはそれに代わる何かを導入してはどうか? といった声はこれまでにも度々上がっていました。

そのような中、国会で議論、採択され、外国人にも国防の一端を任せる目的で 2015年に導入されたのが軍のボランティア制度。私は 1年目の1期生として入りました。

シンガポール人女性、シンガポール新国民 (シンガポール国籍を取得した方)、外国人永住権保持者で 18歳~45歳の方が応募できます。任務は 10年。

ナショナルサービス (兵役) の補助的な位置づけとされており、ボランティアではありますがお仕事を休んで軍の活動に参加する場合は有給となります。(政府から企業に補助する仕組み)

PRの方で活動にご興味ある方はご連絡くださいね。

https://www.mindef.gov.sg/oms/safvc/

 

軍隊基礎訓練に行ってすべて覆されました。覆されたというか、自分がそれまでに持っていた常識、常識以外のものもすべてを超越して、いい意味でどっかーん、がっつーん、とぶち壊されました。あまりにも自分が何も知らなかったことを思い知らされ、知っていると思っていた自分を恥じました。

 

「知っている」には深さの度合いがいろいろあって、それまでの私もシンガポールについて知っていました。でも軍隊基礎訓練で全身を通して身体で経験し、心の奥深くで感じ、そこから見えて、考えたことは、それ以前の私にはまったくないもので、それぐらい深度の深い衝撃的な経験でした。

 

それまでに知っていたシンガポールのことが急速に深みを帯びて、あちこちに散らばっていた点と点が一気に繋がり始めました。それまで何気なく知っていたことに新たな意味が加わったり、新たな視点ができて、周りに見えている物や人は何も変わっていないのに全く別物のように見えるようになりました。

 

脳のシナプスが光と火花を帯びて繋がっていくような感じで、疑問や不思議に思っていたことの答えを次々と受け取るように、頭の中でものすごい反応が起こり始めました。

 

軍隊での経験を通して見たシンガポールのコアと本質

 

では、常識をぶち壊されるような衝撃的な軍隊での経験とはどういうものだったのか。あまりにも多過ぎて、ここでひとつひとつ具体的にどんなことだったのかは挙げませんが、一言で言うと「シンガポールの本質」「シンガポールの奥深いコアにある真の力」を見たことです。軍での訓練は、身体を動かして鍛えるための身体的に厳しい訓練が多いのですが、厳しい訓練をするために体力以上に重要なのがマインド、メンタル、それをやり遂げたいという強い意志、仲間との信頼、協力。そして全く異なる背景を持つ個人の集まりが、共通の目的を達成するため、ひとりひとりが持つ潜在能力以上の力を発揮させ、集団としてのポジティブなモチベーションをつくり、集団を導くリーダーの存在がありました。

 

このような軍隊での経験は、なぜシンガポールがたった 50年程で驚異的に発展を遂げたのかに共通するものがあり、シンガポールの縮図を見たように、私の中でシンガポールへの深い理解に繋がっていきました。

 

また、大きく影響を受けているのがリーダーの存在。ボランティア部隊が発足した 2015年初代総指揮官のあり方でした。それは会社で言えば部長や社長に当たる存在であったり、学生時代の恩師のような存在にも近く、真のリーダーの在り方を間近で見て学びました。それは軍隊がどうとか、シンガポールがどうとか…を超えたもので、人としてどう生きるべきか、社会で生きる一員としてどうあるかを学ぶ本質的なものでした。

 

組織の中で立場のある方が何事も真剣に真摯に取り組む姿。いい言葉、洒落た言葉など喋るだけならいくらでも出てきますが、言葉だけでなく行動で見せる姿。短所やできないことに目を向けるのではなく、常に強みを見出して励まし、可能性を見て進む姿。

 

これまでの軍の活動でそのようなリーダーの姿をたくさん見てきました、そして今も見続けています。だから私が書くシンガポールのストーリーの多くはポジティブなアプローチばかりです。それは失敗を見ないことにするとか、闇雲に何でもかんでも前向きに捉えればいいという意味ではなく、間違えや失敗はどうしたら繰り返さないかを客観的に捉えた上で、今よりもどうやったら良くなるかを常に考えて前進を続けているから。まさにシンガポールのあり方、進み方と同じで、シンガポールのエッセンス全てがそこにありました。

 

2017年撮影

 

結局のところ、似たようなことは誰にでも当てはまることで、私は、たまたま軍隊での活動を通して色濃く体験した形になったわけですが、人によって仕事だったり、スポーツだったり、何か趣味だったり、勉強だったり、海外生活、病気の体験…。何らかの形で人生の中で学ぶのだと思います。

 

何かの体験が情熱となって心から溢れるように出てきたとき、もうそれは自分の中だけには留めておけない、そのストーリーを伝えたい想いとなって、続けられる原動力となるのだと思います。

 

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