6月2日のサーキットブレイカー解除後初となるリー首相によるスピーチがありました。
解除後早いうちに首相から話しがあると思っておりましたが、直後ではなく解除後の様子を見つつ 約1週間後、正確には解除から6日目の夜に設定する抜群の日程選び。
さらに今回は、首相含め政府首脳陣 6名により、6回に分けて、シンガポールのこれからの回復と将来的なことについて国民へ向けて話す内容となっています。
6月7日 夜、6回に渡るスピーチの第一弾はリー首相から。
お話しは約20分
– 導入(現状について)
– 経済的影響について Economic Impact
– 自信を持つこと We Can Be Confident
– シンガポールの強みは「人」Our People are Our Strength
引き続き国民への一致団結を求め、困難に立ち向かうことを強く呼びかける内容でした。特にシンガポールの歴史的原点に返って、これまで先人がいくつもの苦難を乗り越えてきたように、新たな時代の下で、今のシンガポールを形成する人々に対して共に困難を乗り越えようと呼びかける言葉は、シンガポール人の魂を改めて呼び起こし、その言葉の 1つ1つに力強い意志がこめられたものでした。
響く表現、印象に残った部分、大切だと感じた部分など、人によって違うと思いますが、スピーチの中でも特に、私自身が重要だと感じた部分は以下。
* 訳し方は人によって違いますので、皆さんがいちばん心地よいと感じる表現、訳し方に置き換えて取り入れてください。
Indeed, our nation was born in crisis.
シンガポールの始まり自体が危機そのものであったこと、これはシンガポールの原点であり、歴史的原点であるだけなく、人々の精神的な原点とも言えます。
シンガポール人が、困難な時に力を合わせて共に立ち向かっていけるかどうかは、この原点に立っているかどうかが全てと言っても過言ではありません。人々が望んでいない形で独立した国、絶望の中で誕生した国、資源も資金も何もない小さな国土で自分たちが飲む水すらなかったのです。
でもたった50数年の間で、逆境を前進する力に代え、なかったものはあるものになりました。不可能は全て可能にしてきました。弱みは強みに変えてきました。よく小さな国だからここまで成し得たと言う人がいますが、それは違います。もちろん理由の1つにはなり得ますが、いつ崩壊したっておかしくないのです。
ここまで乗り越えてきたのは努力と実践の結果であり、現実のような奇跡で、奇跡のような現実で、シンガポールの存在自体が奇跡の連続を積み重ねている世界でも稀な国。全ては困難と逆境から始まって全てが繋がっています。
スピーチがほぼ終わりに近づいたところで 1つの問いがありました。
コロナ禍、誰もが経験したことのない困難に直面し、この困難をどうやったら乗り越えられるのか? どうやって乗り越えたいのか? ネガティブになるのではなく、前向きに乗り切ろうと考えた人ならば、世界中の多くの人が似たような問いを持ったことと思います。
今、コロナの渦の中にいるから出てきた問いなのではなく、何事もなく穏やかな日常の時でも常に持っていたい「問い」です。日常から問い続けなければ、平時にできないことは非常時にはできません。
首相のスピーチが素晴らしいとか、シンガポールはすごいのですとか、私が伝えたいのはそこではないです。
人は人によってネガティブにもなり得るし、人によって磨かれ、励まされ、前に進む力を得ます。ネガティブに受け取るのか、ポジティブに捉えるのか、それは 1人1人の選択次第。 コロナだから、シンガポールだから、それも関係ないです。皆さまの日常生活の中で良い時も、うまくいかない時も、シンガポールから学ぶ何かが日々の前進する力としてエッセンスとなったら嬉しいです。
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イラスト提供 Instagram @singapolah